クロスボーダーライフをサポートする
あたなが米国に居住しており、$100,000以上の相続や贈与を米国非居住者から受けた年は、IRSに報告義務があるのをご存じでしょうか? 日本でご両親などがお亡くなりになられたときに$100,000以上の相続を受けることは、現在ではかなり一般的になっています。その場合は、必ずIRSに報告をしないといけないのです。
報告をするのはForm 3520を使います。[i] 締切は通常の税務申告の期限である翌年の4月15日になります。通常の税務申告の延長が認められれば半年の延長ができ、10月15日まで締切が伸びます。昨年度である2020年はコロナの影響で電子的なファイリングが許されていました。2021年にも電子ファイリングが許されるか否かはまだ不明です。送付先はUtahにあるIRSのサービスセンターになります。通常の税務申告の送付先と違う場合が多いので注意しましょう。[ii]
複数回、あるいは複数の非居住者から相続や、贈与を受けた場合は、合計金額です。つまり一年間でもらった金額の総計になります。
朗報ですが、学費と医療費の支払いのための贈与はこのなかに含まれません。[iii] どんな学費が認められるかは、https://www.irs.gov/credits-deductions/individuals/qualified-ed-expenses に記載されています。IRSが認めた学費に限られます。
次に贈与などを海外企業からもらった際の報告しないといけない金額は、$100,000ではありません。その金額は、はるかに低く2020年度で$16,649です。また海外のトラストから受けた贈与などは報告のルールが複雑です。この記事ではその説明はできませんが、十分気を付けてください。
最後にペナルティですが、毎月5%で最高で25%が相続額・贈与額にかかります。つまり$300,000の相続でForm 3520を出していない場合は、最高で$75,000の罰金がかかるということです。この罰金は不正確な報告をした場合にも掛けられますので注意しましょう。
多くの人がこの報告を忘れてしまい、期日を過ぎてから報告することになります。この方法をDelinquent international Information Return Submission Proceduresと呼びます。[iv] 残念ながらIRSは、この方法に対してだんだん厳しい態度を取りつつあるように思えます。この記事の目的ではありませんが、Reasonable Cause Statementと呼ばれる遅れた正当の理由を添付しないといけないわけですが、この文章を認めてくれるか、くれないかでペナルティが減免されるか否かが決まります。必ずしもペナルティが減免されるとは限りません。このような状態にならないようにするのが一番の解決方法です。
最後に多くの場合は、海外の非居住者からの相続・贈与は、この報告だけでなく、海外金融口座(FBAR)[v]の申告とForm 8938[vi]の提出が要求されます。すべて怠ると高額なペナルティが取られます。こちらも、ぜひ注意を払い気を付けたいものですね。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。
[i] https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/f3520.pdf
[ii] https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-3520
[iii] https://www.irs.gov/businesses/gifts-from-foreign-person
[iv] https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/delinquent-international-information-return-submission-procedures
[v] https://www.irs.gov/businesses/small-businesses-self-employed/report-of-foreign-bank-and-financial-accounts-fbar
[vi] https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-8938