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今回は、市民権と永住権の税務の違いについて、まとめてみたいと思います。いろいろなケースで読者の方もお悩みになる点だと思います。アメリカ人の配偶者とご結婚された場合や、日本に帰国される際に、「私は市民権を取得すべきだろうか?」とお悩みになる方が多いと思います。この疑問に答えるべく、この記事を書きました。

私の理解では、大きく2点の違いがあります。これは上記の表のXの項目で示されています。これについて説明をしていきたいと思います。

 

1, 夫婦間の財産移動について

正確に説明しますと贈与や遺産を受領する人が、米国市民である場合は夫婦間のUnlimited Marital Deductionという税法を利用して、まったく無税で、かつ税務申告もする必要のないかたちで移動できます。この場合は、贈与する側、遺産を出す人が米国市民と永住権者で違いはありません。

 

では、永住権保持者が、夫婦間の資産の移動を受けた(受領)した場合は、ふたつ制限があります。それは一年間の資産の移動に対する年間制限額であり、もうひとつは、贈与者が持つ生涯贈与・相続非課税枠です。

 

年間の非課税枠は、2021年の場合$159,000です。そして生涯非課税枠は2021年度の場合は、$11,700,000です。この両方の制限を超えた場合に、贈与者側が贈与税を支払います。年間制限額だけを上回り、生涯非課税枠を超えていない場合は、贈与税の申告だけが必要です。贈与税は支払う必要はありません。死亡時には、$11,700,000を上回っただけで、連邦の遺産税がかかります。この事態を避けるために、特殊なトラストを利用して、この税金を避けることもできます。本文では、その詳細については説明しません。

 

端的にこのポイントをまとめますと、もし読者の配偶者が大変なお金持ちで、生涯非課税枠を超えるような資産をお持ちで、あなたがそれを相続や、贈与で受け取る予定であれば、市民になられていたほうが有利であるということです。

 

2, 永住者の米国遺産税のもとでの非居住者扱いについて

永住権保持者は、米国の税法では「米国の居住者」として扱われます。しかし米国の資産税や、贈与税では「米国の非居住者」として扱われる場合があります。端的に言いますと日本に本拠を構えた人、つまり日本での滞在が一時的なものではなく、半永久的であると判断された場合は、米国非居住者としてみなされます。

 

その場合にもしこれらの方たちが米国に資産があった場合には、1でも説明した生涯非課税枠が使えず、代わりに「米国非居住者」としての枠である$60,000しか使えないことになります。この$60,000とは遺産税での場合です。贈与税の場合は、この枠さえも使えないので、非居住者の場合は$15,000以上が贈与税の対象になります。遺産税でも贈与税でも、これは米国にある資産のみが対象になります。

 

実際のこの税法の適用は日米相続税条約があるので、扱いはさらに難しくなります。その実務上の取り扱いに関しては、別の機会に譲るとして、ポイントは、米国市民が外国に本拠を構えて居住していても、生涯非課税枠は米国の贈与税、遺産税の上では使えますが、それが永住権者には適用されないということです。

 

逆の説明をすれば、永住者が米国に資産を維持している場合は、市民が維持している場合に比べて、米国遺産税、米国贈与税の見地からは不利であるということが言えます。

 

3, 最後に

今回は、夫婦間で共同所有されていた資産の持ち分の決定の際に、市民と永住者で違いがでることは説明しませんでした。この部分はまだ筆者は明確に理解しておりません。読者の方は頭の片隅に、この部分でも違いがあり得るということを覚えておいてください。

 

またこの記事の遺産税に関する記述は連邦税法のみに適用されます。州税に関しては、それぞれで違いますので注意してください。

 

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

なおYouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。また無料相談も行っています。こちらのリンクからご予約ください。メールでのご質問は、面会させていただいてお答えしております。https://outlook.office365.com/owa/calendar/[email protected]/bookings/

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