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年金制度の専門家でない筆者が、今回は国民年金の任意加入制度と二重国籍の問題について書いてみます。今回の記事の目的もあくまで読者の注意の喚起であることをご理解ください。国民年金の任意加入制度や、二重国籍の問題は、必ずその道の専門家にご相談されることを強くお勧めします。
1.きっかけ
筆者はNenkin Support Center of America(略称“NSCA”)に属して、WEP制度の国民年金受給に対する誤適用を直そうという活動も行っています。今回の記事は実はNSCAのメンバーの一人の方が見つけてくれた外務省のWEBサイトから始まりました。[i] 国籍と関わりのあることですので、記事に取り上げることにしました。その方には、心より感謝申し上げます。
2.海外に住んでの国民年金の任意加入は日本人だけに許される
その外務省のサイトには以下の通りの記述があります。「25歳以上65歳未満の海外に居住する日本人(第2号、第3号被保険者を除く)は国民年金に加入することができます」ここでいう第2号とは、厚生年金や共済年金に加入している会社員や公務員などで、第3号とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者のことを言います。
通常、日本に居住している場合は、日本の国民年金は強制加入です。この場合は、国籍は関係ありません。しかし、海外に住まれた場合は、日本人だけが任意加入できるのです。逆に言えば、外国籍の人は日本に住まなくなると、国民年金を脱退しないといけないわけで、もちろん任意加入もできません。日本人は任意加入をすることで継続して国民年金を支払い続けることができます。
3.二重国籍問題
現在の国籍法では、自発的に他の国籍を取得した人の日本国籍はその時点で消失します。[ii] この点については、ニューヨーク日本国総領事館のWEBサイトで明確に記載されています。以下、引用です。「自己の志望で米国籍取得した方は,米国籍を取った時点で日本国籍は喪失しているわけですが,国籍喪失届により国籍喪失事実を報告していないと戸籍だけを見るとあたかも日本国籍があるかのように扱われ,戸籍謄(抄)本が取れたり,場合によっては日本旅券が誤って交付されたりすることもあり得ますが,国籍得喪の事実は既に発生しているわけでこの事実が常に優先されますので,戸籍や日本国旅券をお持ちであるからといって必ずしも日本国籍があることを意味するわけではない点には注意が必要です。」[iii]
4.問題点
米国籍を取得した元日本人が、まだ日本人であると思い、あるいはこの任意加入の国籍制限ルールを知らずに国民年金を支払い続けていることです。あるいは、日本に住む日本に住む親が子供が米国籍を取ったことを知らずに、米国に住んでいる子供のために国民年金を、任意加入させて、子供の代わりに払い続ける場合も多いのではと思います。
これらのケースでは、法律上日本人でない人が、日本人にしか許されていない国民年金の任意加入を続けていることになるわけです。
5.解決方法
解決方法は、国民年金任意加入をすぐに中止して、年金機構から、米国籍を取られてから払った掛け金は払い戻してもらうことなのではと想像します。しかし、一番最初に述べましたように筆者は年金の専門家ではありません。ぜひ専門家に相談されるのをお勧めいたします。
筆者が属しているNSCAの代表で市川俊治さんという方がおりまして、年金制度の専門家であります。ご興味のある方は喜んでご紹介しますので、ご連絡してください。
このようなことを初めて知ったという方も多いかと思います。そんな方たちの知識の啓蒙に少しでもお役に立てれば幸いです。また、WEP制度の国民年金誤適用を是正しようと活動するNSCAの協力者も常に募集しておりますので、よろしくお願いいたします。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。
[i] https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/kaigai/nenkin_hoken/index.html
[ii] https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/a1/01.html
[iii] https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/a1/01.html