例えば、上記のAがコストが$250,000として、$300,000の市場価値があるときに、販売したら$50,000のキャピタルゲインが生じます。課税対象のゲインです。このゲインを繰延つまり先延ばしにする方法を説明します。なお不動産は商用あるいは投資用不動産に限られます。
「ライクカインド・エクスチェンジ」別名「Section 1031」と呼ばれる税法です。
Section 1031の方法に従えば、新たに購入した不動産にAのコストと保有期間が移動してゲインに対して課税されません。このサイクルを限りなく繰り返していくことで、税金の支払いを避けることができます。
ちなみに現在連邦のキャピタルゲイン税は最高税率で23.8%になります。また州でもキャピタルゲインにかかる税金があります。一度ご自身の州の税率を確認してみましょう。
では、この1031のプロセスを簡単にご紹介します。
1、 古い不動産を販売活動を開始する
2、 Qualified Intermediary(“QI”)と呼ばれる仲介業者と契約する
3、 古い不動産が販売されてから、45日以内に交換する不動産を見つける
4、 古い不動産が売れてから180日以内に新しい不動産を購入する
5、前述のQIの管理下の下で取引が進み、お金もQIにあずかってもらう。この際にEscrowという仕組みを使います
次に主なルールを紹介します。
1、 米国内の不動産と米国内不動産との交換に限る。つまり海外の不動産を1031に使うことはできません。
2、 賃貸用の一軒家とアパートとの交換でももちろん不動産と不動産なので許されます。また複数の不動産でも許されます。一対複数、複数対一、複数対複数でも構いません。
3、 繰り返しですが商用の不動産に限るー自身が居住している不動産を使うことはできません。
4、 キャピタルゲインを避けるためには、新しい不動産は同じ価値か、それ以上の価値でないといけません。
5、 Bootと呼ばれる現金が取引に入った場合は、税金がかかるケースがあります。
6、 45日の制限では、3つの不動産まで候補として見つけることができます。しかし新しい不動産の価値が古い不動産の価値の2倍以上だったら4つ以上の不動産を見つけることができます。
7、 180日以内にクローズしないといけませんが、税務申告の締切日が関係する制限もあります。
最後に注意点をいくつか列記します:
1、 米国での相続の際には、含みのキャピタルゲインが被相続人に引き継がれず、原価は相続時の市場価格でいわゆるStep-upされますので、このキャピタルゲインに税金はかかりません。
2、 非居住者にもSection 1031を行うことは許されていますが、FIRPTAという外国人投資家対象の源泉税のルールがあるので注意しましょう。
3、 QIと呼ばれる仲介業者が大変重要な役割を負うようです。1031の取引の経験豊富な信頼できる会社を選ぶことです。ひとつルールを間違うとせっかく意図した税金の繰延ができなくなり、さらに大きなダメージを負うことがあるそうです。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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