最近、イリノイ州を含む多くの州で、雇用主が職を求めてくる応募者達に過去の給料の履歴を聞くことを禁止するのを強いるようになりました。この過去の報酬を聞くというのは、多くの採用担当者にとり、会社の予算以上の給料レベルを求める応募者を、手早く振るい落とすための都合の良い質問であり、仕事の要件に合いつつかつ案外低い給料でも受け入れる人を捜すのにも良い質問でした。
ここで質問は、なぜ政治家が企業の採用活動に影響を与えようとしているかです。
これはアメリカに存在する給料の不公平さにあります。もし雇用主は応募者の過去の報酬に応じて給料を決めるのであれば、女性は男性に比べて永久に給料レベルが低くなると一般的に信じられているからです。
米国の労務省によると女性と男性の給料の差というのは、フルタイムレベルで男性の給料の80%というものです。この所得の差は、25歳から34歳の間で最も小さく、55歳から64歳の間で最も大きくなるというものです。この差はヒスパニックでない白人とアジア系の女性と比べて給料レベルが低い黒人とヒスパニック人種の間で最も大きいようです。
過去の報酬を聞くことが禁止されると、雇用主はより給与レベルの段階表(ベンチマーキング)を使い、給料を求められる知識、スキル、能力の面からみて外部的にも内部的にも公平な給料を決めないといけなくなります。
給与レベルの段階表は、ジョブ・デスクリプションによって作成されます。つまりジョッブ・デスクリプションから市場性から考えた給与と仕事の難易度でポイントランキングのシステムを使い段階を作ります。これをグリッドと申します。これで各々のポジションが仕事の価値に対して公正な給料レベルであることを確認できます。給与レベルの段階表は、経営陣にそれぞれのポジションに対して最高金額を決めることで、レンジを超えた人が出てこないようになり、全体として企業は給与レベルをうまくコントロールできます。
採用担当者にこの給料レベルの段階表を与えることで給料の格差をなくすことができるのです。応募者が過去にどのくらい給料をもらっていたのかで考えるのではなく、採用担当者は給料レベルの段階表を使うことで 効果的なオファーを出すことができます。つまりその人の知識、スキル、能力を判断して、適切なオファーを出すことができるのです。