アメリカへ駐在員として赴任されている方々の中には、日本ならではの

年越しやお正月を楽しみに、年末年始にご家族そろって日本へ帰省される方も多いと思います。

年が明けるとアメリカでは一斉にタックスシーズンへと動き出し、雇用主をはじめ、金融機関や政府機関がForm W-2(給与)、Form 1099(利子・配当・投資)、Form 1098 (住宅ローン金利・固定資産税)といった税務申告に必要な支払報告書や控除証明書を1月中に発行します。それらの確証書類は各機関からIRSにも直接報告がされていますので、会計事務所は整合性が取れたプロフェッショナルな税務申告書(タックスリターン)を作成していく必要があります。

 

アメリカにおいての非居住者・居住者の判定は申告ルールに大きく関わり、特に赴任の年と帰任の年でやや複雑になりますが、現在、日本において非居住者、アメリカにおいて居住者である多くの駐在員の皆様は、日米両国の所得を含めた全世界所得をアメリカのタックスリターン上で申告する義務があります。

特に夫婦合算申告をされる方が注意すべきは、夫婦個別申告よりも大きな節税のメリットを得られる反面、駐在員ご本人だけでなく配偶者にも同じ申告ルール(全世界所得)があてはまるということです。

 

そうなると、日本国内の税務関連書類はどのように準備されるでしょうか?

今ではアメリカにいながらオンラインで入手できる資料も多くなりましたが、あらかじめオンラインアカウントの設定をせずに渡米された方の中には、タックスシーズンに入ってから会計事務所に日本国内の情報の提出を求められ、「その銀行の通帳は日本にあるので口座番号や年間最高残高はわかりません」「持ち家を人に貸していて、賃貸収入や諸経費がありますが、詳細がよくわかりません」「持ち株会の配当がありましたが通知書は日本の実家に届くので手元にありません」といった回答をされる方がいます。

 

アメリカの税務申告書に必要な日本国内の情報の主な例:

  • 駐在員ご本人のアメリカ赴任前・帰任後の給与・賞与 →賃金台帳、給与明細
  • 配偶者も渡米され、まだ日本に居住していた期間中に正社員給与やパート収入があった時 →源泉徴収票や給与明細書、年末調整後の源泉所得税と住民税の額が分かる書類
  • 日本の金融機関に預けている各口座の最高残高の総合計が年間通じて一瞬でも$10,000(150円換算で150万円)を超えた場合は、それら全ての口座番号や最高時点での残高。*本人と配偶者それぞれで調べてください。休眠口座、残高がほぼゼロでも口座自体はまだ残してある、といった場合も全ての口座が報告対象です。→通帳
  • 利子収入・源泉税 →通帳
  • 投資口座からの株式の配当金・源泉税・

株式譲渡損益(キャピタルゲイン・ロス)

→証券会社の「取引残高報告書」

  • 持ち株会からの配当収入・源泉税・年間の最高株価、最大持ち株数 →上場企業配当金支払明細書または配当金支払明細書 
  • 賃貸物件の賃貸収入・経費 →賃貸収入の確定申告書または委託している管理会社からの収支報告書
  • 賃貸していない家の住宅ローンの利子(赴任・帰任の年度のみ)→ローン返済表
  • 日本の年金 →年金事務所からの通知書
  • 日本での副業収入 →確定申告書・収支報告書・支払報告書など

 

アドバイス:

  • 日本帰国時に通帳記帳・オンラインで口座にアクセスできるか確認
  • 申告対象期間は人それぞれ異なるため、念のため通年の情報がわかるようにしておく
  • 年末年始期間にはまだ発行されていない書類はアメリカへ戻ってから入手できるよう手配しておく

 

この記事が目にとまった皆様、年末年始をお楽しみいただきつつ、正確かつスムーズに皆様のタックスリターンが完成できますよう、帰省中にぜひこれら資料のご準備をお願いします。弊所では、駐在員の方々には各種書類の内容を理解している日本人スタッフが作成を担当しますので、ご自分であらかじめ英訳する必要もなく全て日本語でのサポートが可能です。

この記事に関するご質問は、天野 早織([email protected])まで。

 

CDHではアメリカ在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの方々が抱える様々な問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの方々が抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんありますので、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

 

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