平成29年4月1日の税制改正の理由として財務省は次の2点を挙げています。
- 租税回避行為が見受けられたため、国外居住期間が5年から10年に加重する
- 優秀な外国人材の受け入れを増加させるために、一時居住の外国人同士の相続では国外財産に相続税を課税しない
下記は財務省のホームページからの抜粋です。
(新)相続税・贈与税の納税義務の範囲
【財務省『平成29年 税制改正パンフレット』に加筆】
(※1)『住所』とは『生活の拠点』のことを言います。従いまして『日本国内に住所がある』ということは『日本国内で生活している』ことを意味します。
(※2)在留資格を有する者で相続開始前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である者。
(※3)日本国籍のない者で相続開始前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年以下である者。
(注)≪経過措置≫日本国籍および国内住所のない者が、平成29年4月1日から平成34年3月31日までに「非居住外国人」からの相続・遺贈・贈与により財産を取得した場合には、国内財産のみが課税対象となります。「非居住外国人」とは、平成29年4月1日から相続・遺贈・贈与のときまで国内に住所を有しておらず、日本国籍も持っていない者。(平成29年改正法附則第31条第2項)
<解説>
もし日本在住の親がアメリカやヨーロッパに資産を所有し亡くなったとします。米国在住の貴方がその資産を相続する場合、全ての資産が日本の相続税の対象となります。米国では相続年度にForm 3520での開示申告を怠ると25%のペナルティが課されますので要注意です。
逆に米国在住の父親が日本やパナマや東南アジアに資産を所有し亡くなったとします。日本在住の貴方は父親の全財産が日本の相続税の対象となります。もちろん父親は米国在住ですので米国の相続税の対象ともなり、日米相続税条約に基づいてそれぞれの国で相続税を申告する必要があります。
つまり相続人、又は被相続人どちらかが日本に住んでいたら日本では全世界の資産が課税対象となります。そしてもし家族で日本国外に移住し日本での相続税を逃れようとすると最低10年の経過が必要となりました。
(注)この税法に関する文章は、筆者が現時点で正しいと思われる情報をニューズレター用に分かりやすく要約したものです。あくまで読者の皆様の注意を喚起し、参考にしていただくことを目的として書かれた文章です。
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