―米国永住権者マニュアルー

 

私もアメリカに学生ビザで来て、いままでHビザ、グリーンカード、そして米国市民権への長い道のりを歩いてきました。だいたい英語は母国語ではないし、米国の税務・法律を理解するのは永住権者には難しい。

私は持前のチャレンジ精神で、MBAを出て、会計士として仕事をしながら、ロースクールにも行き、司法試験も合格しました。そして仕事がらいままで大変多くの永住権者の人のケースを扱ってきました。

こんな経験から、相続の問題点をできるだけわかりやすく説明したいと思います。お役に立てれば幸いです。

まず日本の親からドル換算で10万ドル以上の遺産相続を受けた人はIRSに報告義務があります。不動産も、証券も現金も対象に含まれます。私も父が2017年に亡くなって相続を受けました。ポイントは、こうです。財産があなたの所有になった年の翌年の4月15日(普通の個人の税務申告の期限)までにForm 3520で報告義務があります。(申告書と同じで延長が10月15日までできます。)

さて受け取った財産に米国の税金はかかりません。ご心配なく。(理由は後述します。)私の場合は2017年度にお金を10万ドル以上が自分のアメリカの口座に母から送られて来ました。2018年度の10月15日までに申告書と一緒にこのフォームForm 3520を提出したのです。

問題なのは出し忘れている人です。ペナルティが$10000か受け取った金額の35%のどちらか大きいほうになります! つまり10万ドルぴったり受け取った人で報告していない人のペナルティは$35000になります。

またIRSから通知を受けていながら放ったらかしにしておくと、さらに悪質と見做されてもっとペナルティが来ます。

つい最近まではこのペナルティあまり課せられませんでした。しかしその傾向は変わっています。IRSはペナルティの通知を出すようになってきました。

出すのが遅れてしまった場合にペナルティを避けるには、あなたが意図的に出さなかったのではないことと、リーズナブルな理由により遅れたことを証明する必要があります。“Reasonable Cause“という米国の法律で良く使われる概念です。

こちらはやはりプロに頼んで手紙を書いてもらうのが良いでしょう。フォームを出すときに事前に「こうこうの理由で遅れました。申し訳ありません。決して意図的ではないんです。」と先に事情を説明してしまうのです。あとはIRSがそれをどう受け取ってくれるかです。手紙はプロに頼みましょう。

ではアメリカでは日本からの相続にはなぜ税金がかからないかを簡単にご説明します。アメリカは、Estateと申しまして亡くなられた方が税金を払う義務があるからです。亡くなられた場合は、Form 706と言いまして、その財産としての税務申告があるのです。日本の親は日本の居住者でアメリカの居住者ではありません。ですからアメリカ政府にはそんな親の財産に課税する課税権がないのです。日本は逆ですね。相続を受ける側が税金を払わないといけないのです。

さて、上記はあくまで一般的な概念です。もし日本の親がアメリカに財産があった場合は違います。ここからは別の機会に説明しましょう。

今は電子的にどんどん政府間で納税者の情報を交換できる環境になっています。あとから大きな問題が起きないように、この記事のケースに該当する人はできるだけ早く専門家にご相談してください。

なおこの記事は難しいルールをできるだけわかりやすく書いてありますので、すべてのケースを網羅しておりません。あくまで読者の方の参考としてだけご理解ください。もちろん難しいケースは私どもの会計事務所で相談にのれます。いつでもお気軽にご連絡してください。

藤本光 連絡先:[email protected]  Cell Phone (630) 253-0215