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今年になってコロナの影響で、日本に永久帰国される人が増えていると強く感じます。
レイオフされたり、ご自身の健康が心配になったり、周りとの接触がなくなって不安になられるなど様々な理由が考えられます。
そんな人達のために、今回は401(k)などの適格年金に課される早期引き出しペナルティについて、なんとかこれを避ける方法はないのかについて考えてみました。
つまり59歳半以前に日本に帰国を考えている方のために10%のペナルティを合法的に避ける方法をふたつ調べてみました。こちらは筆者のクライアントからお話しを伺ったのがきっかけです。どうもありがとうございました。
Early Withdrawal Penaltyとは59歳半以前に401(k)やIRAから引き出しをしたときにかかってくるペナルティのことを言います。金額は引き出す金額の10%で、この10%の他に通常の所得税が発生します。
この10%がかからないケースもあります。Hardship Distributionsと呼ばれているものですが、医療費、居住する家の購入、教育費などがこちらにあたりますが、この記事の対象の方には当てはまりません。
CARES法
PPPなどのコロナ対策のために制定された法律です。このなかで、コロナに影響を受けた人は、2020年に限って$100,000まで10%のペナルティを支払わずに引き出せるという規定があります。またこの引出しは、通常20%の強制的な源泉も必要ありません。401(k)だけでなく、個人年金であるIRAにも適用できます。
もし日本に帰国を計画されており、この10%のペナルティが気になっていた方は、CARES 法を利用して10%のペナルティを避けることを検討できると思います。例えばコロナの影響でレイオフされて、仕事がなくなったような人は十分適用されると思います。
しかし何でもコロナに影響されたからとして、この制度を乱用することもしてはいけないと思います。CARES法には、どんなケースでこの項目を利用できるかについての規定が書かれており、さらに詳しいガイダンスが出るとも書かれております。
この記事の最大の注意点としては、401(k)プランの運用会社やIRAの運用会社に自身の事情を正直に話して、コロナの影響で日本に近い将来の帰国を考えており、このCARES法を利用して、プランから早期引き出しをしたいと相談されてください。必ず合法であることを確認されてから、引き出すようにしてください。この記事で筆者は100%のケースでCARES法が適用されるとは決して結論づけていない点をご理解ください。
Rule of 55
次は以前から存在するルールです。55歳ルールと呼ばれるもので、55歳からは現在の仕事を辞めて、リタイアする場合は、現在雇用のある会社の401(k)プランから10%のペナルティなしで、引き出すことができるという制度です。金額に制限はないようですが、CARES法とは違い、現在雇用がある会社の401(k)に限られて、IRAや過去の雇用主のところにある401(k)には適用できないようです。解雇されても、自主的に退職されても使用できます。
59歳半を超えれば、雇用されていても引き出し時には10%のペナルティはかかりません。
こちらはCARES法とは違い2020年の引き出しに限るとは書かれてありませんので、今55歳を超えていれば、今の仕事を辞めて日本に戻り引退するのであれば、適用されると思います。
こちらの注意点ですが、「日本で新しい仕事を見つけたらどうなるのか?」などの法の盲点をつく考え方をしないで欲しいという点です。あくまで本当に早期リタイアする方に該当するためのルールであると思います。こちらも401(k)プランの運用会社としっかり相談してから実施してください。
このようにCARES法や、Rule of 55で、日本に帰国される方には、10%のペナルティを避ける方法があるようです。何度も書きますが、法律違反をしない範囲で、ご利用できるか検討してみてください。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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