一般控除や項目別控除は課税対象額を減らす効果がありますが、税額控除とはその年度で計算された所得税額から税金自体を直接差し引ける控除のことです。外国税額控除、子女養育費税額控除、扶養子女税額控除、養子税額控除、役務所得税額控除、教育費税額控除等があります。
- 外国税額控除(Foreign Income Credit)
アメリカの居住者は米国市民同様に全世界で得た所得をアメリカで申告し、所得税を納めなければなりません。米国駐在員の方は日本本社での収入があれば日本でも所得税を納めている方が多いと思います。この米国外で支払われた所得税は2重課税を防ぐために項目別控除、または外国税額控除を申請することが出来ます。
- 外国税額控除は米国外での勤務日数と全世界課税所得、および外国課税所得の割合などにより計算され、制限を受けます。
- 上記の役務所得を対象としたGeneral Category Incomeでの外国税額控除とは別に、米国外での金利や配当に課せられた源泉所得税も、投資や賃貸収入等を対象としたPassive Category Incomeでの外国税額控除が可能です。
- 子女養育費・介護費税額控除 (Child and Dependent Care Credit)
仕事を持つ独身または共働きの納税者が働くために必要な扶養家族の世話に要した適格費用は、役務所得に応じてその一部が税額控除となります。
- この場合の適格扶養家族としては 13 歳以下の子供及び肉体的・精神的理由で、自分で用が足せない扶養家族や配偶者が該当します。
- 適格費用としてはベビーシッター、託児所、保育園、看護人等の費用があります。
- 調整後所得が $15,000 以下であれば適格費用の 35% が控除額となります。
- 調整後所得が $15,000 を超えると、調整後所得が $2,000増える毎に 1% 控除率が減少し、調整後所得が $43,000 を超えると適格費用の 20% が控除額となります。
- 世話を要する者一人当たり最高 $3,000 の控除額となり、2 人以上の場合は $6,000 の控除額となりますが、夫婦どちらかの稼得収入が少ない方の収入額が、控除限度額よりも少なければその稼得収入が上限となります。
- 扶養子女税額控除 (Child Tax Credit)
ソーシャルセキュリティ番号を持ち、17 歳までの扶養家族一人につき$2,000 の税額控除が可能ですが、調整後総所得が一定額を超えると段階的に減額されます。納税者番号 (ITIN) を持つご子息は $500 の税額控除となります。
- 夫婦合算申告では調整後所得が $400,000 を超えると、$1,000 超える毎に控除額が $50 減額されます。
- 養子税額控除(Adoption Expense Tax Credit)
養子縁組に掛った費用の一部が対象となります。条件としては、
- 17 歳までの未成年者か年齢は関係なく自己管理が出来ない肉体的、または知的障碍者の養子縁組であること。
- 米国市民又は米国居住者であること。
費用として認められるのは仲介料、弁護士費用、旅費や裁判費用などで、2022年度は最高$14,890までの税額控除が可能です。
- 調整後総所得が2022年度では$223,410から段階的に減額され$263,410では税額控除は取れなくなります。
- 役務収入税額控除 (Earned Income Tax Credit)
役務所得が低い方達を対象とした税額控除で、子供や扶養家族の人数により控除額は異なります。
- 給与等の役務所得か自営業による収入があり、Form 2555による海外役務所得除外をしておらず、夫婦合算申告であること。
- 利子・配当・賃貸収入やロイヤルティによる収入、そして譲渡所得などの投資による所得が2022年度は$10,300を超えないこと。
- 夫婦及び申告する家族が全員ソーシャルセキュリティ番号を取得しており、通年居住者であること。
例えば2022年度の子供2人の夫婦合算申告では最高$6,164の税額控除となりますが、課税所得が$26,260から減額され$55,529では控除が取れなくなります。
- 海外役務所得除外(Foreign Earned Income Exclusion)
米国外に居住する米国市民および永住権保持者は、内国歳入法第 911条により、連続する 12ヵ月のうち 330 日以上米国外に滞在していたなどの一定の要件を満たすと、海外役務所得の一定額を課税対象額から除外することができます。この除外の上限は毎年インフレ調整がなされ、2022年度で $112,000 です。 またこの上限を超えた海外役務所得については、それに対応する外国所得税分について外国税額控除の適用が可能です。
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