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今、あなたが米国籍を取得することで、日本の贈与税・相続税が大幅に軽減されるケースはないのか、考えてみました。
ケースは以下の通りです:
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- 贈与、相続をしてくれる父は日本国籍で、米国に15年居住。米国に高額の財産があります。
- 「私」は3年前に日本の大学を卒業して、米国に永住権を取得して住んでいます。永住権保持期間は3年間です。日本国籍ですが、米国市民と結婚して3年間です。
現在の日本の税法では、父親が「私」に贈与をしてくれる場合は、ケースは赤色でマークされた箇所の取扱いになります。[i]この国税庁のチャートですが、黒の場合は日本国内、国外の財産の移動に対して、日本政府に課税権があるという意味です。このままですと、「私」は、まだアメリカに来て3年ですので、「10年以内に国内に住所あり」に該当して、父は「10年以内に国内に住所なし」に該当します。
しかし、この赤色でマークされた箇所を一番右の枠に移すことで、枠は黒から白に代わります。この枠は、贈与・相続を受け取る場合に「日本国籍なし」の場合です。
「私」は、米国市民と結婚して米国に居住して3年いますので、米国市民権取得の選択肢があります。[ii] 結婚期間中は、国外に18ケ月以上出ていませんので、問題ありません。[iii]
「私」が米国市民権を取得すれば、私の日本国籍はなくなります。[iv] こうすることで、国税庁のチャートの上で黒枠から白枠に移り、父親の米国資産の移転に関しては、日本政府は課税することができなくなります。
次に米国籍を取得するまでの期間ですが、数か月から一年と書かれている記事が多いようです。コロナでプロセスが遅れているでしょうから、余裕をもって対処したいものです。
さて、この一連の行動は、日本の贈与・相続の法律に熟知している日本の専門家とよくご自身の事実を相談されて行わないといけないことは言うまでもありません。筆者は日本の税法の資格を取得しているわけではありませんのでご注意ください。
最後に、国籍選択は人生の一大決断です。税法だけで決めることができる簡単な選択ではないと思います。この記事はあくまで読者のレファレンスという意味で作成させていただきました。どうぞ筆者の意図をご理解ください。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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[i] https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4432.htm
[ii] https://www.uscis.gov/sites/default/files/document/guides/M-480.pdf
[iii] https://www.uscis.gov/sites/default/files/document/guides/M-480.pdf Attachment A
[iv] https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/a1/01.html