個人退職金・年金プランは将来のための資産形成という意味では大きな役割を担ってくれます。個人の退職金積立口座は退職計画における重要なツールとなり得ます。退職後の計画を始めるのに早すぎるということはありません。個人退職金積立口座には、皆様が退職後の経済的安定を確保できる、投資を行うための税制上の優遇措置があります。これらは課税所得控除の対象にもなるため、毎年節税が出来るという点では、節税も資産形成と同じ意味であるということになります。これらの口座は銀行やその他の金融機関、生命保険会社、投資信託、証券会社等で開設することができます。

Traditional IRA

個人退職金積立口座の最も一般的なタイプです。Traditional IRAは引き出し時に拠出金とその運用益が課税対象となります。しかし、退職後は一般的に所得レベルが下がるため対処行く前より低い税率区分で課税されることが多く、長い目で見れば節税対策になります。

  • 拠出期間は当該年度の1月1日から翌年の4月15日まで
  • 夫婦合算申告者は夫婦どちらかに稼得収入があれば二人とも拠出可能
  • 超過拠出は超過分に6%のペナルティが課せられる
  • 2020年より拠出年齢の制限は撤廃
  • 73歳になった翌年の4月1日までにRequired Minimum Distributionを開始しないと不足分の25%がペナルティとなる

 

Traditional IRA に拠出した金額については会社が提供する企業年金プランに加入していない限り連邦所得税申告書で控除することができます。もし加入されている場合は、ご本人が加入されている場合と配偶者が加入している場合で控除できる金額が異なります。

  • 拠出金は課税対象収入から控除の対象となり、税制面で有利な個人貯蓄プランである
  • 拠出した資金は、引き出されるまで課税されない
  • 個人の年齢に応じて、拠出額には年間制限がある

 

<拠出額の制限>

Traditional IRA への年間拠出金の上限が $6,500から$7,000に引き上げられました。 50 歳以上の個人の キャッチアップ拠出限度額は$1,000です。

納税者は、特定の条件を満たしていれば、伝統的な IRA への拠出金を差し引くことができます。納税者または納税者の配偶者のいずれかがその年に勤務先の退職金制度でカバーされていた場合、申告状況と調整後所得に応じて、控除額が減額されるか、段階的に廃止される場合があります。納税者も配偶者も職場の退職金制度の対象になっていない場合、控除の段階的廃止は適用されません。

<ご本人が企業年金プランに加入されている場合>

  • 夫婦合算での確定申告者は調整後の所得が$123,000 未満までなら最高限度額を非課税で拠出できるが、超えると段階的に拠出金額が減額され、$143,000 以上になると非課税拠出枠を失う
  • 独身者の場合は$77,000から減額され$87,000 以上になると非課税拠出枠を失う
  • 夫婦別申告者の場合は年間生活費調整の対象ではないので$0ドルから減額され $10,000 以上で非課税拠出枠を失う

<配偶者が企業年金プランに加入されている場合>

  • 夫婦合算での確定申告者は所得が$230,000 未満までなら最高限度額を非課税で拠出できるが、超えると段階的に拠出金額が減額され$240,000 以上になると非課税拠出枠を失う
  • 夫婦別申告者の場合は上記と同様に$0ドルから減額され $10,000 以上で非課税拠出枠を失う

Roth IRA

Roth IRAはTraditional IRAとは異なり、税引き後の拠出であり、引き出し時には非課税とされるため、退職後に所得税を払いたくないかたが選ばれるプランです。

  • 拠出時の年齢制限はなし
  • 引き出し開始時期にも年齢制限はなし
  • 口座開設後5年以上経過し、5歳以上の引き出しであれば非課税
  • 但し死亡時には引き出さなければならない

<拠出額の制限>

50歳未満の方の拠出限度額は$7,000に引き上げられました。 50 歳以上の個人のキャッチアップ拠出限度額は$1,000です。Traditional IRAは企業年金に加入していない限り全体の所得金額に拠出制限はありませんがRoth IRAは所得や確定申告のステータスにより拠出できる金額が制限されます。Roth IRA への拠出に対する段階的廃止範囲は下記の通りです。

  • 独身者と特定世帯主の場合、所得の段階的廃止範囲:146,000 ~ 161,000 ドル
  • 夫婦合算申告者の場合、所得の段階的廃止の範囲は:230,000 ~ 240,000 ドル
  • 夫婦別申告者の場合の段階的廃止範囲:年間生活費調整の対象ではなく、0 ドルから 10,000 ドル

もしTraditional IRAが企業年金加入により全額が非課税とならない場合、その分をRoth IRAに拠出することも可能です。年間拠出限度額は両方合計で$7,000、50歳以上の方は$8,000となります。

<ペナルティの免除>

Traditional IRAもRoth IRAも59.5歳前に年金を引き出す場合は通常の課税に加えて10%のペナルティが課せられます。しかし、下記の場合は例外としてペナルティが免除されます。

  • 調整後所得の5%を超える適格医療費の支払いがある場合
  • 身体障碍者になった場合IRA口座の名義人が死亡し、その受益者となって支払いを受ける場合
  • 年金係数計算法に基づく分割分配を受ける場合
  • 失業期間中の健康保険料の支払いに充てる場合
  • 適格と認められる高等教育費用の支払いに充てる場合
  • $10,000を上限とっする最初の家の購入・建設費用
  • $5,000を上限とする出産・養子縁組費用

<セーバーズ クレジット>

低所得および中所得の労働者に対するセーバーズ・クレジット(退職貯蓄拠出クレジットとも呼ばれる)の所得制限は、夫婦が合算で申告する場合は73,000ドルから76,500ドルに引き上げられます。

この退職貯蓄拠出金クレジットの所得制限は、

  • 夫婦合算申告者の場合: 76,500 ドル
  • 特定世帯主の場合:57,375 ドル
  • 独身者と夫婦別申告者場合は:38,250 ドル

以上

参照

401(k) limit increase to $23,000 for 2024, IRA limit rises to $7,000

https://www.irs.gov/newsroom/401k-limit-increases-to-23000-for-2024-ira-limit-rises-to-7000

2024 Limitations Adjusted as Provided in Section 415(d), etc.

https://www.irs.gov/pub/irs-drop/n-23-75.pdf

 

 

 

以上

 

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。また、お読みになる時点ではすでにルールが変更されているリスクもあります。最新のルールは、下記よりお問合せください。また実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

 

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