主な変更点:
会計基準書842号ではキャピタルリースは「ファイナンスリース」という名前に変更になります。さらに、リースの分類における基準少し変わり、経営者の判断が必要になる場合もあります。また下記の要件を一つでも満たせばファイナンスリースとなります:
- 所有権がリース期間終了時に移転する
- 資産はリース期間後、会社が所有する
- リースには、合理的な金額で行われる購入オプションがある
- キャピタルリースでは格安でリース資産を購入することができる権利を持っている必要がありましたがこれが変更になり、「格安」である必要はなくなりました。
- リース期間が資産の耐用年数の大部分を占める
- キャピタルリースではリースの期間が耐用年数の75%を超えている必要がありましたが変更になったファイナンスリースではリース期間が耐用年数の何%を超える必要があるといった指定はありません。
- リース料総額の現在価値は資産の公正価値の大部分を占める
- キャピタルリースではリース料総額の現在価値は資産の公正価値の90%以上を占めることとされていましたが、ファイナンスリースでは何%、という規定はなく、「大部分」について具体的な指定が無くなりました。
- リース期間終了時点で賃借人はリース資産は用途を特化したものであり他の用途に使えない
- 会計基準書842号に新たに追加された基準です。
財務諸表への影響:
貸借対照表: 使用権資産のファイナンスリース、およびそれに付随する負債が計上されます。負債は流動負債(1年以内に支払う予定のリース)と固定負債に分類されます。
損益計算書: ファイナンスリースに関連して2つの費用が損益計算書に計上されることとなります。1つ目はリース負債に際する支払利息で、実効金利法を用いて算出されます。2つ目は使用権資産の減価償却費で定額法で計算されます。
キャッシュフロー計算書: これらのリースにおける元本の支払は、財務活動によるキャッシュ・フローとして認識され、一方で利息分は営業活動によるキャッシュ・フローと認識されます。
当初測定:
ファイナンスリース負債の当初測定は、リース支払における現在価値のうち未払い分を計算することで算出します。なお、こちらはオペレーティングリースの資産および負債の計算方法と同様です。以下のいずれかを用いて現在価値を算出します:
- 計算利子率(計算利率が決定できる場合はこちらを使用)
- 追加借入利子率(同等の金額および金額で借入した際に考えられる利率を使用)
なお非上場企業は追加借入利子率の代わりにリスクフリーレート(銀行の信用リスク等を反映しないリスク・フリーに近い無リスク利子率)を使用することが可能です。ただし、一度このリスクフリーレートを採用すると、今後もこのレートを使用し続ける必要があります。また、追加借入利子率を使用した場合と比べリスクフリーレートを利用して計算したリース負債は僅かながらも大きくなります(リスクフリーレートの方が利率が低いため低い率で現在価値に割り引くと負債計上金額が大きくなります)。そのため非上場企業は追加借入利子率か、それともリース負債が大きくなるリスクフリーレートのどちらを採用するのかを考慮する必要があります。
オペレーティングリースの使用権資産は、借り手で発生した当初直接費用、前払されたリース料、リースインセンティブに関してリース負債を調整して計算します。
既存のキャピタルリースについては、ファイナンスリース負債として計上され、それに関連する資産を「使用権資産」として、そして「ファイナンスリース負債」に分類します。
事後測定:
ファイナンスリース負債および使用権資産が帳簿に記帳されましたら、以下について会社は月次で実施する必要があります:
- 支払利息(リース負債 x 利子率)を計上し、かつ支払利息分リース負債を増額する
- リース料が支払われた時点でリース負債を減額する
- ファイナンスリース資産の償却額をリース資産から減額する
CDHでは、お客様が懸念される課題について銀行や会計士とのコミュニケーションをお手伝いさせていただいたり、現在および今後契約されるリース、およびベンダーとの契約内容のレビュー、最適なリースソフトウェアの選定等、新基準適用に伴うあらゆるステップをサポートさせていただきます。
リース新基準についてご質問等ありましたら、弊社監査部門シニアマネージャーの中尾 [email protected] (日本語と英語両方で対応可能)あるいは、Emily Bartlett [email protected](英語対応のみ)までお問合せください。