州からの税金リベートは課税対象?

早いもので新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、3年が経とうとしています。連邦は救済措置として、3回にわたる給付金の支給、子女税額控除の前払いや控除額増加など2020年と2021年にかけて実施してきましたが、2022年はこのような特別な措置はありませんでした。その代わり、多くの州で税金リベートとして2022年に税金還付が実施されています。

いくつかの例を紹介すると、イリノイ州では個人税と固定資産税について一家庭最大$500と$300のリベート(State of Illinois Tax Rebate)がありました。インディアナ州では一家庭最大$650の個人税のリベート(Automatic Taxpayer Refund)、カリフォルニア州では一家庭最大$1,050の個人税のリベート(Middle Class Tax Refund)がありました。

通常、州レベルではこれらの税金リベートは課税対象になりませんが、連邦では州からの税金リベートは課税対象となるのでしょうか?連邦からの給付金や子女税額控除の前払いは所得というよりも『税額控除』という名目で支給されたものですので、課税対象にはなりませんでした。内国歳入庁は現在のところ州からの税金リベートについては特別なガイドラインは発表していません。そのため、税金リベートや還付はその名の通り、州からの還付金という扱いになります。州からの還付金は課税対象になる場合と、ならない場合があります。

ではどういった状況で州からの還付金が課税対象になるのでしょうか?基本的にはその受け取った還付金に対して、前年度に州税として課税所得から控除されていたら、還付金は課税対象となります。米国の確定申告では通常、申告するステータスによって控除額が決められている基礎控除、または、実際の様々な支出を申告する項目別控除のどちらかを選択します。項目別控除では、主に医療費、州税、住宅ローンの利子、寄付金などが控除できます。前年度、この項目別控除で州の所得税を控除していた場合は還付金が課税所得になる可能性が高いです。

ただ項目別控除での州税控除は、夫婦別申告の場合$5,000、その他の申告ステータスについては$10,000と控除額の制限があるため、前年度控除できなかった金額についての還付は課税対象となりません。例えば、夫婦合算申告で、前年度の州税の合計は$12,000だったとします。控除額の制限は$10,000はなので、州に$12,000納めていたとしても、控除できるのは$10,000のみです。翌年に$1,000の還付と$500のリベートを受け取ります。本来ならば、この$1,500の税金還付は課税対象になるはずですが、前年度$2,000控除できなかった州税があるため、課税対象とはなりません。同様に、前年度基礎控除を選択していた場合、州税は課税所得から全く控除されていないため、還付金は課税対象とはなりません。

このように2022年に受け取られた州からの税金リベートは連邦で課税対象になる場合とならない場合があります。還付金に対しても州からForm 1099-G、またはForm 1099-MISCが発行される場合とされない場合がありますので、税金リベートや還付金の取り扱いにつきましては、担当の会計士さんにご相談下さい。

記事に関するご質問は、柴原 舞([email protected])まで。CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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