米国税務申告未報告―米国籍放棄時の特別税務救済措置

クロスボーダーライフをサポートする 両親が仕事で米国に駐在時に出生したため米国籍を持ちながら、日本に長い間住まわれていて、一度も米国の税務申告をされていない方は実は数多くおられます。米国の税務申告なんて聞いたことがない、でも最近になって、初めてその義務を知った。そんな人たちのために、IRSは2019年に救済措置を発表しています。英語名をRelief Procedures for Certain Former Citizens[i]と言います。今回はこの手続きについて説明します。 なぜ「救済措置」なのか?...

外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)と金融機関の対応

前回の記事で取り上げた、「私たちの金融口座の情報が、どのようにして国税庁同士で共有されるのか」という話のつづきです。今回はアメリカと日本にフォーカスし、アメリカ独自のFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act・外国口座税務コンプライアンス法)という米国連邦法の仕組みと、このコンプライアンスのために日本の金融機関がどのような対策を行っているかについて説明します。 日本の金融機関が直接IRSへ情報提供 各国の国税庁が、共通報告基準(CRS : Common Reporting...

粉飾決算

過去の記事では不正についてお話させていただきましたが、それではどのような手口で不正、そして粉飾決算は行われるのでしょうか?今回は会社の利益を増やすために実際に行われた粉飾決算についてお話させていただきたいと思います。 売上過大計上 損益計算書の中でも非常に重要視されている売上に関する不正です。 返品される商品の売上:期末近くに商品を出荷し売上を計上しますが、顧客と話をして翌期に返品されるとします。返品されることがわかっていても今期の売上を増やしたいために売上計上を行います。...

米国籍であれば税務申告は毎年しないといけないのか?

クロスボーダーライフをサポートする 米国税務申告には、標準控除(Standard Deduction)という制度があり、一定の金額を毎年の所得から控除してくれます。自身の所得がこの標準控除の金額に届かない方は、米国の連邦政府に税金を支払いする義務がありません。往々にして、州の税務申告書は連邦の課税所得を引き継ぎ、州独自の税率で課税する制度が多いので、州に関しても同じことが言えます。 海外にお住まいの方は、海外所得控除(Foreign Earned Income Exclusion)という制度や、外国税額控除(Foreign Tax...

家族信託が引き起こす米国税務義務

クロスボーダーライフをサポートする 家族信託とは、財産管理の一つの手法であり、資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。高齢化に伴う認知症などにより、この家族信託は日本で最近よく聞きます。 米国税法では、国内信託と外国信託の区別があります。家族信託は外国の法律で規定された、信託(トラスト)なので、外国信託になります。外国信託が一定の条件を満たす場合は、Form...