米国籍であれば税務申告は毎年しないといけないのか?

クロスボーダーライフをサポートする 米国税務申告には、標準控除(Standard Deduction)という制度があり、一定の金額を毎年の所得から控除してくれます。自身の所得がこの標準控除の金額に届かない方は、米国の連邦政府に税金を支払いする義務がありません。往々にして、州の税務申告書は連邦の課税所得を引き継ぎ、州独自の税率で課税する制度が多いので、州に関しても同じことが言えます。 海外にお住まいの方は、海外所得控除(Foreign Earned Income Exclusion)という制度や、外国税額控除(Foreign Tax...

家族信託が引き起こす米国税務義務

クロスボーダーライフをサポートする 家族信託とは、財産管理の一つの手法であり、資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。高齢化に伴う認知症などにより、この家族信託は日本で最近よく聞きます。 米国税法では、国内信託と外国信託の区別があります。家族信託は外国の法律で規定された、信託(トラスト)なので、外国信託になります。外国信託が一定の条件を満たす場合は、Form...

IRSについて

アメリカ合衆国内国歳入庁(Internal Revenue Service、以下「IRS」)は、連邦政府の機構上では財務省の外局であり、連邦税に関する執行、徴収を司ります。日本では国税庁に相当します。IRS 長官と主席顧問官は大統領によって指名され、上院で承認を受けて任命され、その任期は 5 年です。 IRS の歴史は南北戦争最中、1862...

市民権と永住権の税法の違いーDomicileとは?

クロスボーダーライフをサポートする 米国税法で、市民権と永住権の違いがあるのがこのDomicileというポイントです。日本語では「居住」などと訳されます。Domicileは、米国贈与・相続税だけに該当する考え方で、通常の所得税の居住(Residency)とは異なることをまず覚えてください。上記の表を見れば、所得税では、市民と永住権の違いはないことがわかります。しかし贈与・相続では違いがあります。 米国市民は、常にUS Domicile...

米国税務の基礎

米国税法は、連邦税と州税及び都市税等の地方税とに分かれます。連邦個人所得税は内国歳入庁(IRS)が税法や基準を定めます。州税及び地方税は、各州及び市などの税務当局が独自の税制度を定めているため、州によって税制も税率も大きく異なります。 1.連邦税 連邦個人所得税法は、課税所得の金額に応じて、最低 10% から最高37%...

経理規程の作成について

御社では経理規程は存在していますでしょうか?経理規程とは経理業務に関する基本的な考えやルールを成文化したものです。今回は、経理規程がなぜ重要とされているのか、またどのような内容が含まれているべきかについてお話させていただきたく思います。 経理規程の重要性 経理規程の重要性は主に下記の4つとなります。 経理規程を作成することにより、経理業務における不正やミスの発見、及び防止機能を高め、内部監査機能を盛り込むことで財務諸表の信頼性と処理効率性を高めます。...

米国永住権抽選プログラムの当選者が注意すべき確定申告

2022年5月7日に、一日早くフライングして、国務省から2023年度の永住権抽選プログラムの結果発表がありました。この発表は、去年2021年の秋の応募期間中に申し込んだ人に対する結果発表です。アメリカの永住権の当選確率は1パーセントといわれていますので、ドキドキですね。日本からは毎年3万人~5万人が応募しているようです。...

クロスボーダー生活と相続

クロスボーダーライフをサポートする 米国の遺産を日本で相続したときに起きる潜在的な問題点を事前に理解してもらうために、こちらの記事を書きました。 米国ではUnified Creditという贈与税と相続税が一体化した巨額な非課税枠があります。そのために殆どの米国居住者は、贈与税や相続税を支払う必要がありません。2022年度は、$12ミリオン余りなので、限度額を超えることがないからです。また、相続した遺産を販売しても、多額のキャピタルゲインを支払う必要もありません。それはStep Up...

米国税務の基礎、税務申告での収入項目

連邦個人所得税法では、個人に、標準控除額を超える総所得がある場合には、その個人が確定申告を行う義務があります。また申告義務がなくても、所得税の還付が見込まれる場合には、確定申告により還付請求を行うことができます。居住者の方は申告年度中の全ての全世界所得を申告しなければなりません。 <Form W-2, Form 1099 等> 米国で会社より支払われる給与はもちろん、住宅補助や教育費補助、社用車の個人使用分、そして確定申告書作成費用や見込み納税等も納税者に代わり会社が支払えば、個人の所得となります。...

米国の贈与税を払わない知恵

クロスボーダーライフをサポートする 海外に住む方からのギフトが米国で贈与税がかかるのを避けるために、米国贈与税の基礎を説明するのが、この記事の目的です。贈与する側は非居住者、そして受贈する側が米国居住者という想定です。贈与税と、相続税は似ていますが違います。この点もお忘れなく、この記事をお読みください。それでは三種類の資産に分けて、説明をしたいと思います。 現金 取扱いは米国にある現金か、そうでないかで決まります。贈与税のルールで米国にある現金は、US Situs...

米国税務の基礎、ストックオプション

ストックオプションには基本的に法定(適格)と非法定(非適格)の2つのタイプがあります。 従業員株式購入プランまたは報償型のインセンティブストックオプション(ISO)プランに基づいて付与されるオプションは、法定ストックオプションです。 従業員の株式購入プランにも報償型のISOプランにも基づいて付与されていないストックオプションは、法定ではないストックオプションです。 法定ストックオプション(Statutory Stock Options)...

「リタイヤ前にやるべきだった・・・」後悔トップ10<日米比較>

「リタイヤ前にやるべきだった・・・。」リタイア後に後悔しないように今からどのような準備ができるのか?と聞かれると、想像力が必要でしょうか。プレジデント誌が定期的に行うリタイアに関する調査に興味深い結果がありました。トップ1を先に述べますと、日本人の後悔ナンバーワンは、「もっと貯金しておけばよかった」。実は、これはアメリカ人の後悔ナンバーワンでもあります。一方で、こんなデータもあります。1991年から実施されているアメリカの「リタイヤ自信調査」では、リタイア生活に対する“自信”を様々な指標でとっています。「リタイア生活を一生、快適に過ご...

税金の黄金ルール

レック 公子 今年は4月18日が確定申告期日でした。税務のプロとして活動している私は、もちろん自分の確定申告書は自分で作成します。2021年の自分の確定申告書を作成したところ、Tax...

 グリーンカード放棄後のコンプライアンス違反にご注意を

リタイアは日本で。そう考えて長年住んだアメリカのグリーンカードを返上して日本に本帰国をする決意をしたとき。ただ帰るだけでは済まされない、グリーンカード保持者の責任が伴います。その一つは正式なグリーンカード放棄手続き。これは実際に持っている自分のグリーンカードを返却する作業。I-407というフォームと共に返却します。提出先はUSCISオフィス、U.S. Citizenship and Immigration...

買掛金管理について

買掛金管理とは購買から支払いまでの一連の流れを言います。買掛金は貸借対照表の中でも重要であり、事業をしていく上で毎日目にする科目と言っても過言ではないでしょうか。 また、買掛金は掛け取引ですので企業間の信用に基づいて行われる取引であるため、信用取引とも言われ、買掛金の支払いが遅れたり、漏れたりすると、自社の信用に傷をつけることになりかねません。今回は買掛金の正しい管理についてお話させていただきます。 買掛金管理の流れ 買掛金管理の流れは下記となります。 購買予算の決定:顧客先からの発注計画を入手し、仕入計画を立てます。...

米国税務の基礎、米国居住者の判定

(1)居住者のテスト 米国では個人が確定申告をする義務があります。その際の申告身分より課税対象となる所得や控除可能な項目が異なります。税法上の申告身分としては下記の通りです。 米国市民 (U.S. Citizen) 米国居住者 (Resident Alien) 米国非居住者 (Non-Resident Alien) 二重身分者 (Dual Status) 米国市民以外の人が米国居住者であるか、非居住者であるかの判断は、グリーンカードテストか実質滞在テストによって決定されます。 <グリーンカードテスト>...

スーパーファンド 化学品物品税

2022年6月21日 1980年に米国議会は「スーパーファンド法」としても知られる、包括的環境対応補償および責任法(“CERCLA”)を制定しました。これは政府主導で行われている汚染物質の浄化作業や、危険物廃棄場の修繕に充てられる資金になることが目的とされています。この税制は、CERCLAの継続が棄却された1995年まで適応されていました。 2021年11月15日、インフラ投資雇用法(Pub.L.117-58)が法制化され、これによりスーパーファンド化学品物品税の適応範囲がより拡大した形で再び導入される結果になりました。...

米国税務の基礎、一般的な税控除項目

居住者の方は標準控除か項目別控除の金額の多い方を選択し、課税対象所得を減らす事ができます。但し非居住者や二重身分者の方は、標準控除を選ぶ事ができません。また、夫婦個別申告でどちらかが項目別控除を選んだ場合は二人とも項目別控除を選ばなければなりません。申告者が盲目や 65 歳を過ぎた場合は、追加控除ができます。 <人的控除・扶養者控除について> 2018 年度より、納税者自身と配偶者に対する人的控除や、税法上認められた子供や両親等の扶養家族に対する扶養者控除はなりました。   標準控除 <2022年度標準控除額>...

米国税務の基礎、税額控除

一般控除や項目別控除は課税対象額を減らす効果がありますが、税額控除とはその年度で計算された所得税額から税金自体を直接差し引ける控除のことです。外国税額控除、子女養育費税額控除、扶養子女税額控除、養子税額控除、役務所得税額控除、教育費税額控除等があります。 外国税額控除(Foreign Income Credit)...

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