今回はIRSが勝ち! コカ・コーラとIRS が移転価格について税務裁判で戦っていたのはご存知ですか?少し前になりますが、昨年11月に税務裁判所はIRSの主張を認める裁定を下しました。 背景:...
GILTI(米国外軽課税無形資産所得) とFDII(外国稼得無形資産所得
GILTIの合算課税制度とはトランプ前大統領時代に米国税制改正 (The Tax Cut and Jobs Act) の一部として米国財務省が2018年度から始まる課税期間の最終日を含む米国法人の課税期間から適用されるように制定したものです。これは国外にある子会社が留保利益をため込む傾向にあるため、配当等の支払いによる親会社への資金還流を待たずに、利益を上げた時点で米国からの課税が行われる制度です。これがいろいろなところで影響を与えています。 GILTI概要 Global Intangible Low-Taxed...
配偶者が無茶苦茶な時の税金救済策―Innocent Spouse Relief Form
クロスボーダーライフをサポートする 無実の配偶者の救済のためのフォームがIRSにはあります。今回の記事ではこのフォームについて説明したいと思います。[i] 内容については、IRSのFormのInstructionのページを参考にしました。 夫婦合算申告 この制度を理解するために必須な知識があります。それは米国の夫婦合算申告制度です。英語で、Married Filing Jointly...
日本とアメリカ、どちらが税金が安いんだろう?
クロスボーダーライフをサポートする こちらの表は、財務省の「所得税など(個人所得課税)に関する資料」というページに出ているひとつのチャートです。[i] 州税や、地方税まで考慮した、全体像として所得税を国際比較をしようと財務省が試みている大胆なチャートだと思います。このページ自体も多数の資料が出ている大変興味深いです。興味がある人はさらに研究してみてください。...
日本のiDeCo(個人の確定拠出年金)海外からの参加可能に
クロスボーダーライフをサポートする 2022年5月から、海外居住者でも国民年金に任意加入していれば、日本のiDeCoに加入ができることになりました。[i] iDeCoとは米国の制度で言いますとTraditional IRAに似た制度です。今回は、この制度を米国居住者が利用した場合について考えてみましょう。 iDeCo...
海外金融口座の未報告―IRSに違反者を告発した際の褒賞制度
クロスボーダーライフをサポートする FBARと呼ばれる海外金融口座をDepartment of Treasury(IRSの上部組織)に意図的に報告をしなかった場合は、未報告の海外金融口座の合計残高の50%あるいは、2021年度のレベルで$129,210のどちらか高いほうのペナルティを払わないといけない規定があります。[i] 意図的つまりWillfulにです。 2018年2月に法改正が行われて(The Bipartisan Budget Act of 2018)、従来からある内部告発者報奨制度(IRS Whistlelower...
イリノイ州Back to Business 助成金の発効
ビジネス向けのCOVID-19 Relief追加施策 J.B. プリツカー イリノイ州知事は、経済活動復興のための総合的な施策を発表しました。これには2億5千ドルのBack to Business (B2B)助成金というものが含まれています。本経済活動復興計画は、主にコロナウイルスパンデミックの影響を大きく受けた小規模ビジネスを支援することを目的としています。B2B助成金の資金はAmerican Recovery Plan Act (APRA)から調達されます。 利用可能な資金...
現預金及び小切手管理
現預金及び小切手管理が正しくされているか考えられたことはございますでしょうか?今回は現預金及び小切手の正しい管理についてお話させていただきたいと思います。 小口現金 小口現金とは、日々発生する会社の経費を精算するために少額の現金を手元で管理しておくことです。急な消耗品購入等で現金が必要になるということもあるかと思います。小口現金は、タイムリーな精算で社員の立て替え負担を減らせるメリットがありますが、盗難防止のためのセキュリティ強化が必要などといったデメリットもあります。ではどのようにして小口現金管理を行うのが望ましいのでしょうか?...
日本にある金融資産を報告するForm 8938とFBARの違い
税務上の米国居住者は、日本を含めた米国外の金融資産をアメリカ政府に報告しなければなりません。そして、その保有資産の種類や額に応じて申告方法が変わります。TurboTaxなどのソフトで確定申告をされる場合に注意しなければならないのは、ソフトに含まれているフォーム(Form 8938)と、含まれていないフォーム(FinCEN Form 114)があるために、FinCEN Form 114の申告が見落とされがちなことです。たとえば、From 8938でしっかりと申告義務を果たしている人でも、FinCEN Form...
ご存知でしょうか、早期引出ペナルティの免除
401(k)や403(b)のような雇用主が後援する、税金が繰り延べられる適格退職金制度には、資金引き出し時についての規則があります。原則としては59歳半より前に資金を引き出すと、10%の早期引出ペナルティが発生します。しかし幸いなことに、このペナルティを課されることなく、引き出しを数年早く取得する方法があります。その一つがRule of 55として知られています。早期退職を検討している場合、またはその他の理由で401(k)または同様のプランからお金を引き出す必要がある場合は、このRule of...
Covered Expat 絶対必要知識
クロスボーダーライフをサポートする 出国税について、絶対に知っておいて欲しい知識を3点説明します。 永住権放棄後も毎年IRSに報告義務がある人 Covered Expatになった人のなかでEligible Deferred Compensationなどをお持ちの方は、毎年このForm 8854を提出しないといけません。この条件は、8854のインストラクションの“Who Must File”の2番目の項目に出ています。[i] Eligible Deferred...
海外の会社を所有時―絶対に必要知識
クロスボーダーライフをサポートする 米国の居住者、つまり米国市民、グリーンカード保持者、そして183日ルールを満たしている居住者が、海外の会社、トラストなどを保有するのは税務上非常に複雑な状況に陥ります。今回の記事は、海外の会社を持った際の注意点という観点から説明したいと思います。 Form 5471 (Information Return of U.S. Persons With Respect To Certain Foreign Corporations) [i] の提出義務...
帰国時の日米税務―永住者が日本に仕事で滞在する場合の注意点
クロスボーダーライフをサポートする コロナ禍による経済の大変動により、仕事をアメリカから日本に移される永住者は多いと思います。そのなかで、永住権を維持して、いつかはアメリカに戻りたいと考えられている方も多いと思います。そんな人のために今回は記事を書いてみました。...
出国税と401(k)
クロスボーダーライフをサポートする Covered Expatになって永住権を放棄した場合に、401(k)などのEligible Deferred Comp[i]と呼ばれる資産の取扱いを今回はステップを踏んで説明します。 1,W-8CE[ii] 永住権の放棄をされた日か、401(k)からのDistributionを受けた日のどちらか早いから30日以内に、あなたは、このフォームを資産を持つ金融機関に提出しないといけません。 2,金融機関 金融機関では、あなたがCovered...
ご存知でしょうか、米国市民権放棄における救済措置
Relief Procedures for Certain Former Citizens IRSは米国国籍を離脱する市民に対し、税務コンプライアンス認証プロセスを満たすための代替手段を提供しています。 日本国籍のご両親のもとに米国で生まれた方、いわゆる2重国籍で日本に帰国され、そのまま米国籍を離脱していなかった方もこの救済措置を受けることが可能です。 該当者がこの手続きのための下記の条件を満たし必要書類を提出した場合は、IRC...
在庫に関する内部統制について(在庫管理業務)
在庫は会社の商品であり、ビジネスの要です。また、貸借対照表の科目の中でも金額が比較的大きく、大きな比重を占めるものです。在庫管理が正確に行われていないと在庫損失が発生し、会社に大きな損失をもたらす可能性があります。今回は在庫に関する内部統制、主に在庫管理業務とはどういうものか、について説明させていただきます。 在庫管理業務とは...
国際相続ケーススタディ
クロスボーダーライフをサポートする 国際相続は、大変難しい分野です。そんな分野を皆様にわかりやすく説明するのが、CDHの使命です。そのためにケーススタディを使い説明してみましょう。このケースでは州の遺産税は考慮に入れておりません。ご注意を。 ケース 米国市民権保持者のお母さまが、ご高齢になり子供さん二人への相続を考えています。お母さまの総資産は$10...
第三回 エコノミック・インパクト・ペイメントの最新情報
10月15日をもって2020年確定申告の延長締め切りが終わりました。IRSは今年3月21日を皮切りに、ひとり$1,400を、第三回Economic Impact Payment(以下EIP3)、いわゆるスティミュラス・チェック(Stimulus Checks)として支給してきました。これは、IRSに届く皆さんの2020年の確定申告書の情報を元に、受給資格を満たす納税者に対して手続きを行うものです。ついに10月15日に2020年税務申告の最終日を迎え、延長申請が終わった納税者に対しても支給が始まるというわけです。...
米国永住権が日本での銀行口座開設時に直面する 問題点と準備 クロスボーダーライフをサポートする 大多数の人が日本に帰国されて、最初に行うのが、銀行口座の開設です。そして永住権の放棄を行います。ここで、問題になりつつあるのが、まだ永住権を保持している人が口座開設時に直面する困難です。 1,困難...
RSUと出国税
クロスボーダーライフをサポートする 最近、譲渡制限株式ユニット(RSU)に関するニュースが日本でも目につくようになりました。Indeedという会社のニュースも参考になります。[i]RSUとは、付与から数年後に、対象者に自己都合によって退職しない等の一定の要件を満たすことを条件に、自己株式処分により自社の株式を付与する制度です。付与から株式の交付までに一定の期間を要する繰延報酬の一部です。長く会社にいてもらいたい雇用主側が考えた、従業員向けのインセンティブのひとつです。[i]...