「FBAR調査で調べられる証拠」

クロスボーダーライフをサポートする 今回は、FBAR監査時に調べられる証拠について、IRSの監査マニュアル[i]から情報をまとめてみました。なおFBARのルール上では、5年間[ii]の間、証拠を保管する義務ありと定められています。 必要とされる証拠 Form 1040とSchedule B IRSが調べる年度だけではなく、それ以前の年度も3年間保管しておいた方が良いと思います。監査マニュアルには、それ以前3年間は調査すると明記されています。Schedule Bには、FBARに関する説明がPart...

永住者のためのRoth IRA

クロスボーダーライフをサポートする Roth IRAは、1989年にデラウェア州の上院議員のWilliam Rothさんともう一人の上院議員で提案されました。今回の記事は、このRoth IRAを永住者の立場から、説明してみたいと思います。 基礎知識 Roth IRAは、税引き後のお金を拠出する制度です。税引き後で拠出された資金は、税金が課税されずに推移します。IRAと同じように税金が繰延されるわけです。...

FBAR問題・原因分析

クロスボーダーライフをサポートする 今回は、海外金融口座報告(FBAR)問題が起こりうる原因を3つに分け、それぞれのリスクの対処方法について説明します。FBAR問題が起きた場合は、罰金、追徴の税金、プロフェッショナルに支払いを行うコストなど代償が大きくなる傾向にあります。未然にこのような問題を防ぐための確認項目を、いままでの経験にもとづき、説明したいと思います。 金額の確定リスク 網羅性と正確性のリスクの対処法は以下の通りです。網羅性とは、すべての報告すべき口座を報告し、正確な金額で報告するです。 配偶者、扶養家族の口座を忘れない...

IRSからの最新情報

IRA & Roth IRA・2021年度個人退職年金の拠出は4月18日まで <IR-2022-52より抜粋> IRAは、従業員と自営業者が退職のためにお金を蓄えることを可能にし、税制上の優遇措置をとることができる個人貯蓄プランです。 2021年の拠出は、4月18日の確定申告書の提出期限まで、従来のIRAまたはRoth IRAに行うことができますが、金融機関には2021年度分であることを指示する必要があります。...

永住権者の日本居住と二重課税

クロスボーダーライフをサポートする 米国永住権を持つ人が、日本に居住し仕事をし、ある年に米国出張があった場合に思いもかけず米国で課税されてしまう。その仕組みの基本をご説明したいと思います。そしてその防ぐ方法も提案します。 日本にずっと滞在して、労務所得を得る場合 米国永住権者が、一年間を通して日本に滞在して所得を得る場合は、日本と米国から同一の所得に対して課税されます。しかし課税されても、米国の税務申告書では、二つの手法のどちらを使い、米国の連邦税がかからない、つまり税金ゼロで終わるケースが多いと思います。...

各国の税務当局間における金融口座の自動情報交換について

自身が保有している日本の金融口座についてIRSがどのようにしてその口座の存在を知るのだろうと考えたことはありますか?その疑問に対し、ひとつの回答となる「情報交換をめぐる国際的取組み」について説明します。 租税条約等に基づく情報交換 まずは、「租税条約に基づく情報交換」というものがあります。これは、納税者の取引などの税に関する情報を二国間の税務当局間で互いに提供する仕組みです。この情報交換には、3つのタイプがあります。 要請に基づく情報交換 自発的情報交換 自動的情報交換 1 要請に基づく情報交換...

内部統制における人事評価及び人材育成

御社は従業員の業績評価を定期的に行っておられますか?「人事評価制度」は、評価に基づき社員を育成して生産性の向上を図り、究極的には企業の目標達成や業績のアップに繋げるためのシステムです。社員を評価するには、社員が持つ能力やスキルだけでなく、会社への貢献度を加味して判断することが重要です。人事評価は会社が事業を行っていく上で非常に重要ですが、会社の財務諸表にも影響を与え、内部統制という観点からしても重要と考えられます。では人事評価が内部統制においてなぜ重要とされているのかをお話したいと思います。 なぜ人事評価が重要か?...

米国の相続時の節税

クロスボーダーライフをサポートする 米国の相続で一番重要なコンセプトがステップアップベイシス、あるいはステップトアップベイシス(Stepped-up Basis)と呼ばれるものです。こちらのコンセプトを説明します。これがわかると、知識の幅がどんどん広がります。 ベイシス ベイシス(Basis)とは、税務上でキャピタルゲインを計算するときに使う、いわゆるコスト(原価)のことを示します。まずこれを覚えてください。米国税務ではこのベイシスという言葉が良く出てきます。 贈与と相続のあなたのベイシスの違い...

生涯非課税枠(Unified Credit)ケーススタディ

クロスボーダーライフをサポートする 米国の贈与税と相続税は、Unified Creditという名前でひとつの枠があります。日本語に訳しますと「生涯非課税枠」です。これは、米国が贈与税と相続税を一連の連続した流れで捉えていることを意味すると思います。筆者は、日本でも同じ方向になる立法が考えられているとこ聞きます。 1,贈与の年間非課税枠...

最後の税務申告の帰国前の準備

クロスボーダーライフをサポートする 2022年、あるいはそれ以降に帰国する予定の方も読者のなかにはいると思います。そんな方のために、今年の経験からぜひ考慮してもらいたい2点をご説明します。 帰国する年の所得税額の米国銀行口座からの自動引き落とし...

米国税務申告未報告―米国籍放棄時の特別税務救済措置

クロスボーダーライフをサポートする 両親が仕事で米国に駐在時に出生したため米国籍を持ちながら、日本に長い間住まわれていて、一度も米国の税務申告をされていない方は実は数多くおられます。米国の税務申告なんて聞いたことがない、でも最近になって、初めてその義務を知った。そんな人たちのために、IRSは2019年に救済措置を発表しています。英語名をRelief Procedures for Certain Former Citizens[i]と言います。今回はこの手続きについて説明します。 なぜ「救済措置」なのか?...

外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)と金融機関の対応

前回の記事で取り上げた、「私たちの金融口座の情報が、どのようにして国税庁同士で共有されるのか」という話のつづきです。今回はアメリカと日本にフォーカスし、アメリカ独自のFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act・外国口座税務コンプライアンス法)という米国連邦法の仕組みと、このコンプライアンスのために日本の金融機関がどのような対策を行っているかについて説明します。 日本の金融機関が直接IRSへ情報提供 各国の国税庁が、共通報告基準(CRS : Common Reporting...

粉飾決算

過去の記事では不正についてお話させていただきましたが、それではどのような手口で不正、そして粉飾決算は行われるのでしょうか?今回は会社の利益を増やすために実際に行われた粉飾決算についてお話させていただきたいと思います。 売上過大計上 損益計算書の中でも非常に重要視されている売上に関する不正です。 返品される商品の売上:期末近くに商品を出荷し売上を計上しますが、顧客と話をして翌期に返品されるとします。返品されることがわかっていても今期の売上を増やしたいために売上計上を行います。...

米国籍であれば税務申告は毎年しないといけないのか?

クロスボーダーライフをサポートする 米国税務申告には、標準控除(Standard Deduction)という制度があり、一定の金額を毎年の所得から控除してくれます。自身の所得がこの標準控除の金額に届かない方は、米国の連邦政府に税金を支払いする義務がありません。往々にして、州の税務申告書は連邦の課税所得を引き継ぎ、州独自の税率で課税する制度が多いので、州に関しても同じことが言えます。 海外にお住まいの方は、海外所得控除(Foreign Earned Income Exclusion)という制度や、外国税額控除(Foreign Tax...

家族信託が引き起こす米国税務義務

クロスボーダーライフをサポートする 家族信託とは、財産管理の一つの手法であり、資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。高齢化に伴う認知症などにより、この家族信託は日本で最近よく聞きます。 米国税法では、国内信託と外国信託の区別があります。家族信託は外国の法律で規定された、信託(トラスト)なので、外国信託になります。外国信託が一定の条件を満たす場合は、Form...

IRSについて

アメリカ合衆国内国歳入庁(Internal Revenue Service、以下「IRS」)は、連邦政府の機構上では財務省の外局であり、連邦税に関する執行、徴収を司ります。日本では国税庁に相当します。IRS 長官と主席顧問官は大統領によって指名され、上院で承認を受けて任命され、その任期は 5 年です。 IRS の歴史は南北戦争最中、1862...

市民権と永住権の税法の違いーDomicileとは?

クロスボーダーライフをサポートする 米国税法で、市民権と永住権の違いがあるのがこのDomicileというポイントです。日本語では「居住」などと訳されます。Domicileは、米国贈与・相続税だけに該当する考え方で、通常の所得税の居住(Residency)とは異なることをまず覚えてください。上記の表を見れば、所得税では、市民と永住権の違いはないことがわかります。しかし贈与・相続では違いがあります。 米国市民は、常にUS Domicile...

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