「存在すら忘れている子供のころに親が開いた口座が複数あり、口座はそのままだが預貯金はゼロ、あるいは、いったいいくら入っているのかも分からない。通帳も実家に置いたままでオンラインのアクセスもない」。そんな休眠口座をお持ちの方は要注意。2022年6月21日、アメリカ合衆国最高裁判所は、2.72ミリオンドルの罰金を科せられたルーマニア出身の移民であるAlexandru...
米国税務の基礎、税額控除(2)
教育に伴う費用に関しては、前々回のNewsletterで説明させていただいた項目別控除で申請する学生ローンの支払い利子控除の他にも、教育費税額控除、教育貯蓄口座の非課税分配金、そして項目別控除で申請する所得控除があります。税額控除を受けた場合は同時に授業料の所得控除を申請することは出来ません。しかし、教育貯蓄口座からの非課税分配金の対象としなかった適格教育費用やQTPでカバーできなかった適格教育費用は税額控除の対象にすることができます。 教育費税額控除 (Education Tax Credit) ...
失業保険税制について
アメリカで従業員を雇用する際には、必ず失業保険事務所に登録して、適切な失業保険税を支払うことが必要です。アメリカの失業保険税制は連邦ではなく各州により管轄されていますので、州ごとに税率など詳細部分は異なり、課税ルールも多種多様となります。今回はイリノイ州の失業保険税制についてご説明します。 イリノイ州失業保険税の概要(2022年度) 課税対象上限額$12,960 税率725%~7.625% 2022年に起業した新会社に適用される税率525%...
私はこうして仕事をしながらLaw Schoolを卒業した
クロスボーダーライフをサポートする 会計事務所のパートナーでありながら、夜ロースクールに通い、5年で卒業し、司法試験も合格した私ですが、その際に使用した手法を紹介します。今回はほとんど税金には関係しないのですが、同じような道を辿りたい人のために記事を書きます。 復習より予習を優先...
新リース会計
2021年12月15日以降終了の事業年度から新しいリース会計を適用しなければならないのをご存知でしょうか?今月11日に新リース会計のウェビナー開催させていただきましたが、参加できなかった方もいらっしゃるかと思いますので、今回は新リース会計について説明させていただきます。なお、ウェビナーは録画しておりますのでご興味がございましたら下記リンクから是非ご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=-nLiJT1WOPQ 新リース会計と旧リース会計の違い...
日本で相続税を払う人が増えている?
平成27年(2015年)に、日本では基礎控除が従来の6割に引き下げられたことにより、相続税を負担する人の割合が増えました。令和2年(2020年)に亡くなった方は約137万人。この亡くなられた人数(被相続人数)に対する相続税申告数は12万人、つまり8.8%となっており、2015年以前の4%台から2倍に増えています。この背景には、平成「25年度税制改正(2015年1月より)」による相続税基礎控除額の変化があります。今回は、近年の推移に触れたうえで、日米のクロスボーダー生活者が気を付けておくとよいポイントをお話しします。...
ロースクールをせっかく出たのに、弁護士になれなかった理由
クロスボーダーライフをサポートする 会計事務所のパートナーでありながら、夜ロースクールに通い、5年で卒業し、司法試験も合格した私ですが、弁護士にはなりませんでした。良かったのか、悪かったのかは、今になってはわかりませんが、キャリアの途中で弁護士になろうと考えている人、あるいは現在スクールに在学中の人のために私のストーリーをシェアさせていただきます。 背景...
米国税務の基礎、退職年金:ソーシャルセキュリティ
アメリカの Social Security Tax/Medicare Tax は、日本では社会保障税に該当します。5 年未満等の短期駐在の場合は日米社会保障協定により、米国にて社会保障税の支払が免除されています。この社会保障協定の適応を受けるには、日本年金機構に申請して証明書を取得する必要があります。この証明書は 3 年まで延長が可能ですが、それ以上の延長は日米双方の協議が必要となり、大変難しくなります。 <日本の社会保険・在籍出向か移籍出向か>...
SDGsという言葉をご存じですか?
Image credit: United Nations, Wikipedia SDGsという言葉をご存じですか?コロナ禍で3年も日本を留守にしていましたが、今年に入りやっと一時帰国が実現し、通算3か月、弊社の日本オフィスのある名古屋市に滞在してきました。その間に日本のテレビ番組・CMをシャワーのように浴びまして、なかでもEテレで放送されていた『SDGsのうた』というのが耳から離れません。 2030年までに達成する国際目標。あと8年しかない! SDGsはSustainable Development Goals...
米国税務の基礎、退職年金:個人年金・企業年金と節税
個人退職金・年金プランは将来のための資産形成という意味では大きな役割を果たしてくれます。また課税所得控除の対象にもなるため、毎年節税が出来るという点では節税も資産形成と同じ意味だということになります。是非とも長期展望を持って始めましょう。 IRA...
監査におけるアサーション(経営者の主張)とは?
会社は財務諸表監査を受けているが、監査人は具体的にどのような点に着眼して監査を行っているのだろう?と思われたことはございませんでしょうか?監査では「経営者の主張、アサーション」を重要視しており、このアサーションを基に監査作業を行っています。監査は経営者の主張を検証する作業です。たとえ財務諸表を作成するのが経理担当者であったとしても、最終的には財務諸表は経営者の主張であると考えれられており、特に在庫の引当金や貸倒引当金等、不確定な項目に関しては経営者の判断が必要になります。このアサーションを知ることで監査を受ける際、監査人の目線を知るこ...
日本国籍を手放す人が増加中―遺産税から考える
クロスボーダーライフをサポートする 「ここ10年、「国籍離脱者」、「国籍喪失者」が増える傾向にあることを示す統計がある。」という副題の「サンデー毎日」の記事作成のために、筆者は、ジャーナリストの鈴木隆祐(すずき・りゅうすけ)氏に取材を受けました。その記事では、日本国籍の離脱者・国籍喪失者の総数は、増加傾向であることが最初に説明されています。私は、自身の離脱理由と米国の遺産税について言及させてもらいました。今回は、特に米国遺産税について、詳しく解説してみたいと思います。 米国市民権を取得する日本人の数(サンデー毎日の記事から)...
アメリカにいる日本人女性へ「お一人様プランニング」
今回の記事は、女性に焦点を当て、「今はアメリカに住んではいるが、将来日本へ帰ることも選択肢として残しておきたい」と願うクロスボーダーの日本人女性に対して、税金・資産形成を考えるうえで大切な心構えについてお話しします。結論から先にお伝えしますと、心構えの第一は、自分の寿命は長く、最終的に自分は一人になるかもしれない前提で、第二に、親の介護のために日本への帰国を余儀なくされる可能性も考慮しつつ、第三に、帰った時にスムーズに日本生活をスタートさせられる環境を整えておく、の三つです。...
国籍方第11条改正を求める有志の会について考える
クロスボーダーライフをサポートする クロスボーダーの生活を考える上で、二重国籍という問題を避けるわけにはいきません。最近表記のような運動がインターネットの上で起きていることを知りました。今回は、少し税金を離れて、二重国籍という問題を考えてみたいと思います。ちなみにここで使用しているイメージは、この運動を主催されているグループの方が作成されたと思います。Websiteは、イメージをクリックしていただくか、https://tinyurl.com/3knhxhwt でたどり着くことができます。...
金融資産報告MRF (マネー・リザーブ・ファンド) の口数はいくら?
今回は、日本に証券口座を持っている方からよく質問される「MRFって何でしょう?」について、米国側への日本の金融資産報告の観点から知っておくとよいポイントをお話しします。 証券会社や銀行経由で株式や投資信託などに投資すると、定期的に取引明細書が送られてきます。明細書にはご自身の投資している銘柄の内訳や成績が記載されていますが、その中に「MRF」という銘柄を目にしたことがあるかもしれません。その銘柄の残高が「 ××口」などと書かれていたりして、「ん?これって何だっけ??」と思った方、これは、Money Reserve...
米国税務の基礎、遺産税と贈与税 (1)
日米の比較 日本では相続人・受贈者が遺産税 ( 相続税 )・贈与税を支払うのに対し、米国では被相続人・贈与者が遺産税 ( 相続税 )・贈与税を支払うというのが大きく異なる点です。 連邦遺産税 (Federal Estate Tax) 米国では財産の移転に伴い、それぞれに贈与税、遺産税、世代跳躍移転税という課税制度があります。つまりその人の生涯に渡り財産が移転する度に課税する生涯累計課税制度です。それに対して生涯非課税枠が設定されており、2022 年度は12,060,000ドルとなっています。...
外国人が日本に住んだときの、日本の相続・遺産税
クロスボーダーライフをサポートする 令和3年の日本の税法改正で、イラストにあるケースで、ある特定の在留資格がある外国人には日本国外にある資産には、日本の課税が及ばないようになりました。その内容について説明します。 外国人として日本に住んだ場合、避けて通れない問題が、日本の贈与・相続税です。アメリカではUnified Creditという贈与・相続の生涯非課税枠がありますが、日本の居住者になると、一般的には、いままでは全世界の資産の贈与・相続に関する資産の移動に関して課税されていました。それが改定されたのです。...
売掛金の監査とは?
売掛金は貸借対照表項目の中でも非常に重要な勘定科目です。また、監査を行うに際しても売掛金は最重要項目の一つであり、「売上の架空計上」はどの会社の監査を行う際にも常に特定されるリスクです。今回は売掛金の具体的な監査手続についてお話させていただきます。売掛金の監査手続きを知ることによって、御社の決算作業にお役立て頂けましたら幸いです。 売掛金のアサーション 以前の記事で経営者のアサーションというお話をさせていただきましたが、売掛金の監査で重要とされているアサーションについて説明いたします。...
日本の居住者認定―米国永住権者
クロスボーダーライフをサポートする 日本国籍の人が、日本に住み、税務上で日本の居住者と認定された際には、全世界所得が日本で課税対象になります。もし米国の永住権を保持していた場合には、二重課税が発生します。 そこで今回は、日本の「居住者」定義について考えてみたいと思います。 「大蔵財務協会」が発行している「国境を超える個人所得課税の要点解説」を参考にさせていただきました。 国内に住所があるか?...
米国税務の基礎、遺産税と贈与税
日米の比較 日本では相続人・受贈者が遺産税 ( 相続税 )・贈与税を支払うのに対し、米国では被相続人・贈与者が遺産税 ( 相続税 )・贈与税を支払うというのが大きく異なる点です。 連邦遺産税 (Federal Estate Tax) 米国では財産の移転に伴い、それぞれに贈与税、遺産税、世代跳躍移転税という課税制度があります。つまりその人の生涯に渡り財産が移転する度に課税する生涯累計課税制度です。それに対して生涯非課税枠が設定されており、2022 年度は12,060,000ドルとなっています。...