クロスボーダーライフをサポートする 日本に帰国されるときに、考えられるパターンは大きく3通りあります: 帰国後永住権を放棄する 帰国後も永住権の放棄の手続きを行わない 米国市民権を米国で取得して、日本に帰国する 今回はこの3パターンを様々な側面から徹底比較をしてみたいと思います。まずは比較の前に注意点から。 1,注意点 この記事の「永住権を放棄する」とは税務上でのプロセスのことで、移民法上での手続きについては記事の主旨ではありません。税務上のルールは、8年以上永住権を保持していた人は、Form...
含み益がある資産に対する出国税の計算方法
クロスボーダーライフをサポートする 出国税はまだまだ多くの方が誤解しています。今回は、税金がかかる前の資産の含み益の計算方法について実例を使った説明します。以下、Covered Expatriateと判定されたと仮定して、含み益の計算をしてみましょう。 1, 3つの資産 上記の表のように資産がA,B,Cの3資産あったといたします。そしてそれぞれの資産には、原価、市場価値、含み益(損)があります。...
米国での離婚の税務
クロスボーダーライフをサポートする 米国で離婚をする際に、重要になるのが税務知識です。片方の配偶者に完全に税務面での作業を頼り切っていると、離婚時に自身の知識のなさを痛感して、大きな後悔をすることになります。幸せな結婚生活を継続するのが筆者の願いですが、離婚をされる場合もあるでしょう。今回は、離婚をされるときに少なくとも絶対に知っておいてもらいたい知識を3つ選んで説明します。 1、申告形態と年末の婚姻関係...
固定資産について考慮すべきこと
固定資産に関してご質問をいただくことがよくございます。よって今回は固定資産に関して注意すべき事項についてお話さえていただきたいと思います。 固定資産計上基準...
Employee Retention Credit =改定=
2020年12月27日に署名されたConsolidated Appropriations Actにより、Employee Retention Creditが改定され、この税額控除がより申請しやすくなりました。今回の改定は、CARES Actにより出されたオリジナルのEmployee Retention Creditの改定で、2020年度分も過去に遡って申請できるものと、2021年度に申請できるものとが出されました。 2020年Employee Retention Credit CARES...
クロスボーダーの離婚慰謝料を取り戻す
クロスボーダーライフをサポートする 米国からのAlimonyの支払いで30%引かれたままになっている人がいないでしょうか? そんな人は、1040NR をファイルすることで、全額は戻りませんが、ある程度の税金が戻ってきます。今回は、この仕組みについて説明したいと思います。いくつかのステップがありますので、注意して読んでください。 1.基礎概念 Alimonyと英語で呼ばれる支払いについて説明します。離婚の成立が2018年までの方のAlimonyと2019年以降に離婚が成立した人では扱いが違います。まずはこの点から説明します。...
出国税を払わない5つの方法
クロスボーダーライフをサポートする 正確には、出国税を払わないではなく、出国税の対象外になる方法を5つ紹介します。 1.永住権を放棄しない 出国つまりExpatriationしなければ、出国税の対象にはなりません。したがって日本に帰国されても、米国の永住者(Permanent Resident)であり続ければ、出国税がかかりようがないわけです。 永住権を放棄するためには、I-407を提出後、翌年に二重身分(1040NR-Dual Status)の申告をして、Form...
米国市民権を取ると日本に送金時に課税される?
クロスボーダーライフをサポートする 今回は、日本の税金制度について、説明します。筆者の私は米国のCPAですが、日本の税理士の資格を持っているわけではありませんので、詳細は必ず日本の税理士に確認されていただくようにお願いします。もちろんCDHで連携している日本の税理士事務所をご紹介します。...
二重国籍のリスク―国民年金任意加入制度
クロスボーダーライフをサポートする 年金制度の専門家でない筆者が、今回は国民年金の任意加入制度と二重国籍の問題について書いてみます。今回の記事の目的もあくまで読者の注意の喚起であることをご理解ください。国民年金の任意加入制度や、二重国籍の問題は、必ずその道の専門家にご相談されることを強くお勧めします。 1.きっかけ 筆者はNenkin Support Center of...
「まだ間に合う!」 節税のためのIRAとRoth口座
クロスボーダーライフをサポートする 4月15日が迫りつつありますが、今回は節税策のひとつとしてIRAとRoth IRAを説明します。 「まだ間に合う!」とは、2021年度の4月15日までに拠出すれば、IRAを2020年度のDeductionつまり損金として認めてくれるという意味です。またRoth も2020年度の拠出として、2020年の枠を使用できるのです。 1.Traditional IRA ...
永住者のためのRoth IRA
クロスボーダーライフをサポートする Roth IRAは、1989年にデラウェア州の上院議員のWilliam Rothさんともう一人の上院議員で提案されました。今回の記事は、このRoth IRAを永住者の立場から、説明してみたいと思います。 1.基礎知識 Roth IRAは、税引き後のお金を拠出する制度です。税引き後で拠出された資金は、税金が課税されずに推移します。IRAと同じように税金が繰延されるわけです。...
駐在員が絶対に知らないといけない個人税務知識
クロスボーダーライフをサポートする 今回は駐在員が知らないといけない米国税務知識を3点選んで説明します。以下の通りです: (1,) 401(k) に加入できないなかでの、個人でのIRA・Roth IRAの利用 (2,) 日本に帰国してももらえるソーシャルセキュリティのベネフィット (3,) 日本の退職金の米国課税の問題点とその解決法 1、401(k)...
米国贈与税は払わなくて良い
クロスボーダーライフをサポートする 米国居住者のために米国の贈与税の基礎を解説します。 1, 基礎概念 米国税務と日本の税務で大きく違うのは、米国では贈与をする側、つまり贈与者が贈与税の申告と贈与税の支払いの義務があります。日本は逆で受贈者にこれらの義務があります。このポイントは忘れないでください。次のポイントは、殆どの人が贈与税の支払いをしない点です。こちらは生涯非課税枠があるからです。このポイントは後述します。 2, 贈与税・基本コンセプト (1)...
海外金融資産報告―Streamlined Procedures
クロスボーダーライフをサポートする 1, Streamlined Proceduresとは 海外金融資産が過去6年間で未報告あるいは報告漏れがあり、かつそのために過去6年間でIRSに提出している税務申告書で課税所得が低くリポートされていた人が利用できるのが、Streamlined Proceduresです。報告漏れとは、生命保険や、簡易保険の口座を入れるのを忘れていたなどで、全ての口座を漏れなくリポートしていなかったような場合です。まずは過去6年間(すでに申告済みの年)で問題があったか否かで判定されます。...
日本に美田を残すなー米国永住者の遺産相続
クロスボーダーライフをサポートする 米国居住の米国永住者が日本に資産があり、その資産を米国の子供に贈与、あるいは相続したときの国際課税について説明したいと思います。わかりやすく説明するために、ケーススタディの形式をとります。 1, ケース...
ペナルティなしの海外金融口座問題の解決法-Delinquent FBAR Filing Procedures
クロスボーダーライフをサポートする 今回は、Delinquent FBAR Submission Procedures(「延滞海外金融口座提出方法」)と呼ばれる海外金融口座の未報告問題の解決方法について説明します。この方法ではペナルティがかかりません。 1, この方法を使用できる条件 簡略化して説明すると4つの条件があります: (1) 過去6年間で海外金融口座の未報告の事実 (2) IRSから未報告の通知が来ていない、あるいは、IRSから調査されている状況でない (3) 過去の税務申告書(Form...
日本帰国時の選択肢-永住権放棄?維持?米国籍取得?
クロスボーダーライフをサポートする 今回は、帰国の際の3つの選択肢として、税務面を中心にグリーンカードの放棄、グリーンカードの維持、そして最後に米国籍の取得を考えてみたいと思います。 この決断はとても重大な決断です。慎重に考えて決断をしてください。例えば米国籍を取得することは、日本国籍の消失を意味します。いったん取得した米国籍を放棄したら、自分が無国籍の人になっているなどのことも起こり得るわけです。こちらは在ニューヨーク日本国総領事館のWEBSITEを参照してください。[i] 1, 永住権放棄のメリット...
米国籍を取得して後悔したこと
クロスボーダーライフをサポートする 今は、多くの方が自発的に他の国の国籍を取得すると、自動的に自身の日本国籍が消滅する日本の国籍法の取り決めを知っています。しかし、4,5年前までは、それを知らない人が数多くいたと思います。また、そのころは、日本政府もあまり二重国籍について、厳しく言わないような状況があったのかもしれません。そんな背景もあり、今、「二重国籍」の人が数多く存在すると聞いております。もちろん、ある一定の条件を満たせば、合法的に二重国籍を取得できる人もおります。...
日本居住でForm1040の提出義務を 怠っている人達の問題点とは?
クロスボーダーライフをサポートする 数多くの問題点がForm 1040 を出すべき人が出していない場合に起こります。今回はこのテーマについて書いてみようと思います。 1) 問題点 a. 永住権の放棄の正式手続きをしていない人が、急にI-407をファイルして、永住権の放棄をしてしまうと、自身の資産が$2ミリオン以下でも、放棄の年の前の年から数えて5年間でのFederal Tax Ruleをコンプラアンスしていないことになります。すると自動的にCovered...
海外金融口座の問題は大丈夫―安眠してください
クロスボーダーライフをサポートする 長い間、海外金融口座の問題の相談を受けていると善良な在米日本人からの切迫した感情を吐露されることが多いです。 ...