IRS から認可を受けている非営利の慈善団体、教育・科学・文化団体、宗教団体等適格団体への現金及び現物での寄付は項目別控除の対象となります。

非営利慈善団体

内国歳入法第 170 条 (c) に基づいて適格とされる以下の組織に寄付した、またはこれらの組織の使用のために寄付した慈善寄付は控除の対象となります。非営利の慈善団体は慈善目的、宗教目的、科学や文化そして教育目的、友愛目的、そして一般公益増進目的など多岐にわたります。

  • 州または米国の領有地 (またはその政治的区分)、または米国またはコロンビア特別区 (公共目的のみで寄付した場合)
  • 米国またはその領有地で、または米国、いずれかの州、コロンビア特別区、または米国のいずれかの領有地の法律に基づいて組織または設立され、慈善、宗教、教育、科学、または文学目的のみ、または子供や動物への虐待防止のみを目的として組織および運営されている共同募金会、法人、信託、基金、または財団
  • 教会、シナゴーグ、またはその他の宗教団体
  • 米国またはその領有地で組織された退役軍人組織またはその支部、補助組織、信託、または財団
  • 非営利のボランティア消防団
  • 連邦法、州法、または地方法に基づいて設立された民間防衛組織(これには、ボランティア活動に直接関連し、ボランティア活動のみに起因する民間防衛ボランティアの未払いの経費が含まれます)
  • ロッジ制度に基づいて運営されている国内の友愛団体(ただし、寄付金が慈善目的のみに使用される場合のみ
  • 資金が特定の区画または霊廟の納骨堂ではなく、墓地全体の永久管理に取り消し不能に捧げられている非営利の墓地会社

<適格の条件として>

1.慈善団体

  • 宗教、慈善、科学、公共の安全のためのテスト、文学、教育、またはその他の特定の目的のためにのみ組織され運営され、特定の他の要件を満たす団体は、内国歳入法第 501(c)(3) 条に基づいて免税となる

2.教会および宗教団体

  • 教会および宗教団体は、他の多くの慈善団体と同様に、第 501(c)(3) 条に基づいて連邦所得税の免除を受ける資格がある

3.私立財団

  • 第 501(c)(3) 条に基づいて免税資格を得る資格のあるすべての団体は、第 509(a) 条に記載されている例外のいずれかに該当しない限り、私立財団として分類される
  • 私立財団は通常、単一の主要な資金源 (通常は複数の資金源ではなく、一つの家族または企業からの寄付) を持ち、そのほとんどは、慈善プログラムの直接的な運営ではなく、他の慈善団体や個人への助成金の提供を主な活動としている

4.政治団体

  • 第 527 条の対象となる政治団体とは、非課税機能のために直接的または間接的に寄付金を受け取ったり、支出を行ったり、あるいはその両方を行うことを主な目的として組織され運営されている政党、委員会、協会、基金、その他の組織 (法人化されているかどうかは問いません)

5.その他の非営利団体

  • 特定の要件を満たす組織は、第 501(c)(3) 条以外の条項に基づいて非課税の対象となる場合がある
  • これには、社会福祉団体、市民団体、社交クラブ、労働組合、ビジネス団体が含まれる

 

<控除限度額>

2017年の税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act: TCJA)により2018年から2025年までの時限付きで現金による寄付は調整後所得(AGI)の60%まで控除できるようになりました。他の限度額は寄付の内容により調整後所得の50%、30%、20%までとなります。

1.AGI60%制限

  • 50% 制限の組織として適格な公的支援を受けた慈善団体または財団への現金の寄付

2.AGI50%制限の例

  • 教会、教育機関、病院、医療研究機関、一般市民または政府機関から多額の支援を受けている公的支援を受けた組織、民間運営財団、課税年度終了後 2ケ月半以内に寄付金の 100% を適格慈善団体に分配する民間非運営財団、寄付金を共通の基金にプールし、課税年度終了後 2ケ月半以内に収入が分配される場合、寄付者が寄付金を受け取る慈善団体を指定できるようにする民間財団
  • 50% 制限の組織として適格な公的支援を受けた慈善団体または財団への財産 (キャピタル ゲイン財産以外) の寄付

3.AGI30%制限の例

  • 50% 制限の組織へのキャピタルゲイン資産の寄付
  • 50% 制限の組織以外の適格組織 (退役軍人組織、友愛会、非営利墓地、および特定の民間非運営財団を含む) への現金または資産 (キャピタルゲイン資産以外) の寄付

寄付日に公正価値で売却すると長期キャピタルゲインが発生する資産はキャピタルゲイン資産です。但し例外として、 寄付者が公正価値ではなく資産のコストまたはその他の基準のみを控除することを選択した場合、30% の制限は適用されません。

4.AGI20%制限の例

  • 50% 制限の組織以外の適格組織へのキャピタルゲイン資産の寄付。

実践のヒント: 異なる制限の対象となる複数の寄付については、Pub. 526 のワークシートを使用して控除を計算します。

尚、控除できなかった場合にはそれぞれの制限枠で5 年間の繰り越しが認められています。

<証拠書類として>

  • 現金や支払小切手の場合は受取書が必要で、特に $250 以上の場合は必ず受取書又は確認状を入手すること
  • 現金以外の現物の寄付で $500 を超える場合は、確定申告書に Form 8283を添付
  • 現物の寄付が$5,000を超える場合は鑑定書が必要

 

 

 

<現物贈与の評価方法>

  • 一年超保有の株式及び不動産で含み益のある場合は公正市場場価額
  • 一年未満保有の株式及び不動産、家具や美術品等の動産の場合は購入価格又は公正市場価額の低い方を寄付の評価額とする

慈善活動への交通費としては $0.14/ マイル、そして食事代、宿泊費、駐車料金、そして高速料金が認められています。

 

<外国の組織>

非課税組織検索で外国の住所が記載されている組織は、通常、外国の組織ではなく、外国で活動している国内で設立された組織です。これらの組織は、控除限度額に関して他の国内組織と同様に扱われます。

カナダの住所が記載されている特定の組織は、租税条約に基づいてのみ寄付が控除される外国の組織である可能性があります。

  • 米国の税法に基づくすべての慈善寄付に適用される全体的な制限の対象となることに加え、カナダの組織への慈善寄付は、カナダ源泉所得に適用される米国の慈善寄付の割合制限の対象となる
  • Publication 597に記載されているように、寄付者が米国の所得税申告書にカナダ源泉からの課税所得を報告していない場合、カナダの組織への寄付に対する控除は認められない

上記の場合を除き、外国の組織への寄付は控除できません。カナダやメキシコを除く米国外、例えば日本への慈善団体へ直接寄付されても、控除の対称にはなりません。一定の金額を超えると贈与税の対象となりますのでご注意ください。

参考

Charitable Contribution Deductions:

https://www.irs.gov/charities-non-profits/charitable-organizations/charitable-contribution-deductions

Section 170:

chrome-extension://mhnlakgilnojmhinhkckjpncpbhabphi/pages/pdf/web/viewer.html?file=https%3A%2F%2Fwww.irs.gov%2Fpub%2Firs-drop%2Frr-03-28.pdf

Tax Emption Organization Search:

https://www.irs.gov/charities-non-profits/tax-exempt-organization-search

Publication 526:

chrome-extension://mhnlakgilnojmhinhkckjpncpbhabphi/pages/pdf/web/viewer.html?file=https%3A%2F%2Fwww.irs.gov%2Fpub%2Firs-pdf%2Fp526.pdf

 

以上

 

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