クロスボーダーライフをサポートする

Charitable Remainder Trust (CRT)を使い、節税ができます。今回はその仕組みをわかりやすく説明します。CRTは、自身の財産をIrrevocable Trust (取り消し不可能信託)に寄付して、存命中は、Distributionを受け、自身が死亡したときに、希望する慈善団体に寄付できる仕組みで、IRSが認めている多くの合法的な節税の仕組みを利用できるものです。3つの側面で、CRTの仕組みを説明します。

  • 信託を作り、自身の財産を寄付

取り消し不可能信託である公益残余権信託つまりCRTを作り、そこに自身の財産(現金、株、不動産)などを寄付します。この寄付を行うことで、あなた自身は、税金のDeductionを取ることができます。寄付した価値が全額損金として取れなくても、残額は未来の5年間にわたり繰越し、利用することができます。CRTの資産は、自身が委託者(トラスティー)になり管理をすることができ、自身が訴訟などで、資産が取られることになっても、CRTの資産を債権者は、手をだすことができません。またAppreciated Assetsと言われる含み益がある株券などは、市場価値で損金算入できます。通常の贈与では、原価でしか、損金に取れません。

  • 信託からDistributionを受ける

存命中は、一定の金額、あるいは一定の資産に対する割合で、毎年CRTからDistrbutionを受けることができます。Distributionの方法は、Annuity TrustとUnitrustの二種類の受給方法があるようです。この受給ですが、受ける側は、Ordinary Income Taxで課税されるのではなく、Four-tier Accountingと呼ばれる有利な税率のかかり方になります。つまり存命中は有利な税率で資産の分配の仕組みを作ることができるのです。

追記ですが、CRT内で運用される資産が発生する譲渡益(Capital Gain)に対しても課税はされません。買ったり、売ったりしても無税で増やすことができます。CRTにある資産は無税で殖えるわけです。

  • 死亡時(CRTの終了時)に指定のチャリティに寄付

あらかじめ決めておいたチャリティにCRTの資産が寄付されます。ここで二種類の贈与のタイプがあり、DirectとLegacyのふたつになります。Directとは、Red Crossなど決まったチャリティに寄付することで、Legacyとは、Donor Advised Fund,Supporting Organization, Private Family Foundationなどを選択できます。これらの仕組みは、自身の死亡後も家族が受け継いだ資産を使い福祉的な活動を継続できるものです。Donor Advised Fundが近年非常に人気が出ているようです。Private Family Foundationは、Bill Gates氏のFoundationが有名ですが、維持費用、コンプライアンスがとても大変なようです。

このようにCRTは、ある程度の資産、それも含み益がある資産がある人、そして公共のために自身のお金を使ったもらいたいと思う人にとっては、とても有利な信託です。多くのアメリカ人の富裕層は、この仕組みを使い殆ど税金を払わないで、自身が正しいと思うかたちで、自分の資産を有効活用しているんですね。

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