出典:デジタル庁

 

先日の記事で取り上げた「クロスボーダー人がマイナンバーカードを持つ日≒2024年5月」。このための環境整備ともいえるマイナンバーカードの普及促進がさらに一歩進みました。

『マイナンバーカードの住所情報を変更すれば、その情報が金融機関などにも渡り、一括反映するサービス』。

これが2023年5月16日に始まります。河野太郎デジタル相が2023年4月25日の会見で発表しました。2023年5月16日といえば、この記事が発行されるころにはもう反映開始というスピードです。

今回の新しい情報

もう一度おさらいすると、以前の記事で、クロスボーダー人がマイナンバーカードを持つ日は2024年5月である、とお伝えしました。海外に住む日本人のマイナンバーカードを日本の在外公館で交付・更新できるようにし、マイナカードを失効せずに持ち続けられる法改正を2024年5月までに施行する。それに合わせ、在留邦人の多い都市から順次体制を整えるという趣旨です。

つまり、これから1年以内に以下の1~3の流れが進む、というタイムラインでありました:

  1. 2024年5月までに施行する法改正として、海外に住む日本人のマイナンバーカードを、日本の在外公館で交付・更新できるようにし、マイナカードを失効せずに持ち続けられるようにする。
  2. 順次体制を整えるのは、在留邦人の多い都市からである。
  3. 米国内における在外邦人数都市別ランキングは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ホノルル、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトル、シカゴ、オークランドの順である。

この3つの流れの前に飛び込んできたのが今回の0番目です:

  1. マイナンバーカードの住所情報を変更すれば、その情報が金融機関などにも渡り、一括反映するサービス開始が2023年5月16日。
    1. これにより、マイナンバーカードを持っていない人々が、オンラインで簡単にカードの申請と認証ができるようになることが期待される。
    2. これらの取り組みは、2023年5月16日から開始される予定。政府は、この新しいシステムが国民の利便性向上と行政サービスのデジタル化を促進することを期待している。
    3. 具体的には、オンラインでマイナンバーカードの申請を行った人々には、自宅にカードが郵送される。そして、カードを受け取った後、オンラインで簡単にカードの認証ができるようになる。
    4. これにより、カードを取得するプロセスがより簡素化され、感染症流行下での対面での手続きの必要性が減少することが期待される。
    5. 政府は、この新しいシステムを利用して、国民により簡単に行政サービスを提供し、デジタル化を推進することを目指している。また、政府は、この新しいシステムが国民のプライバシー保護にも配慮していることを強調している。
  2. 海外に住む日本人のマイナンバーカードを日本の在外公館で交付・更新できるようにし、マイナカードを失効せずに持ち続けられる法改正、2024年5月までに施行。
  3. 在留邦人の多い都市から順次体制を整える。
  4. 米国内における在外邦人数都市別ランキングでは、一位から、ロサンゼルス、ニューヨーク、ホノルル、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトル、シカゴ、オークランドの順。

クロスボーダー人として知っておくべきこと

さて、クロスボーダー人として気になるのは、「マイナカードの住所情報」とはどのような情報で、「金融機関など」がどのような機関を指し、そして、その「一括反映される」のは誰が対象なのか、でしょう。

現在のところ、下記のように整理できると思われます:

  • マイナカードの住所情報 ≒住所、氏名、生年月日、性別 = 基本4情報
  • 金融機関など ≒ 銀行、証券、生命保険、損害保険
  • 一括反映 ≒ 本人の同意に基づき情報提供をした人

出典:https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/91632a04-00bc-42c6-9de4-e681824acb3f/11ecf17d/20230420_mynumbercard-promotion_outline_03.pdf

上記出典元にあるとおり、日本国民の生涯ライフステージをクロスボーダー人に当てはめにくいところがあります。依然として、前回の記事で取り上げた、マイナカードと運転免許証の一体化による現住所登録に関する点は不明瞭であります。

しかしながら、前述のa) 、c)にあるとおり、マイナンバーカードの申請がオンラインに移行し、登録住所が日本国外になれば、運転免許証を身分証明書として使用することが難しくなるのみならず、今回の発表を受け、マイナカードの登録住所や住所変更をした際に自動的に銀行、証券などの金融機関の届け出住所の変更にも反映されるのであれば、クロスボーダー人が日本の銀行口座や証券口座を維持することが困難になることは想像できます。なぜならば、既に銀行や証券会社では日本の非居住者になる場合には口座の閉設を促す金融機関もあるからです。

国税に金融口座の情報開示を忘れずに

金融機関における日本の非居住者に対する口座保有のルールがどのようになっているか、このWiseサイト「非居住者向けの銀行口座サービスがある日本の銀行6選」をご紹介しますので参考にしてください。

楽天証券のサイトに分かりやすい図説「海外出国のお手続き」がありますのでご紹介します。渡航先が米国の場合、という具体的な説明もあります。

クロスボーダー人にとって、老後の年金の受取先として日本の銀行口座を指定したり、日本での相続贈与が発生した場合の入金先としての銀行口座、また、その資金の運用先としての証券口座を保有していたいと願うのは当然のことですし、ですから困っているクロスボーダー人も数多くおられると思います。

ご自身の保有している口座の金融機関に確認したり、これからの動向には是非注目していただきたいと思います。また、米国当局に対して、日本にある銀行、証券、生命保険、損害保険等の金融口座の申告 Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR)や、Statement of Specified Foreign Financial Assets (FATCA) を忘れないようにしてください。

参考文献

CDH会計事務所 「クロスボーダー人がマイナンバーカードを持つ日」 2023年4月3日

https://www.cdhcpa.com/ja/crossborderindividualsarewaitingformynumbercards/

日本経済新聞「マイナカード、住所変えたら銀行にも反映 5月16日開始

本人同意で情報提供」 2023年4月25日

Wise 「海外赴任しても使える銀行口座6選!非居住者向けサービス・手数料解説」

デジタル庁 「マイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議(第4回)」 2023年4月17日https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA254ER0V20C23A4000000/

https://wise.com/jp/blog/moving-abroad-bank-account

https://www.digital.go.jp/councils/mynumbercard-promotion/91632a04-00bc-42c6-9de4-e681824acb3f/

デジタル庁 「マイナンバーカードの普及・利活用拡大」 庁 マイナンバーカードの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議(第4回) 2023年4月17日資料3https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/91632a04-00bc-42c6-9de4-e681824acb3f/11ecf17d/20230420_mynumbercard-promotion_outline_03.pdf

楽天証券 海外出国のお手続き https://www.rakuten-sec.co.jp/web/support/procedures/non-resident/

記事に関するご質問、記事に取り上げてほしいというトピックがありましたら、Haller基江[email protected]まで。CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ずエンゲージメントレターを交わした上で税務・法務などの専門家に相談をしてください。

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