得する永住権者の税務知識

すべての海外にある金融資産をリポートしないといけないFBARと呼ばれるこの仕組みを簡単に説明します。対象となる金融資産は以下の通りです。

非常に簡略して表現をすると自分の名前が所有者として出ていて、他人の口座残高と混じっておらず、自分の残高がわかる口座はすべて含まれると考えてください。自分が所有している会社の銀行口座も入ります。税金がかかりませんので、リポートすべきか迷うような口座は推定の金額でもリポートすべきです。

さて、一年間のどの日でも金融資産の最高合計残高が1万ドルを越えるとリポートしないといけないルールです。つまり二つの銀行口座があり両方とも$7000の残高があるとこのふたつの口座をリポートしないといけません。(ちなみに25以上の口座がある人は個別に情報を開示しなくて良いようです。)

共同名義の口座も別々にリポートしないといけません。

具体的にどのようにして最高残高を出すのかについては、”Reasonable Approximation”を使えば良いと書かれてあります。つまり金融機関からくる情報に基づいて大きく残高が違わないように注意して、おおよその金額をリポートすればよいというルールです。

では、どの為替レートを使えば良いのでしょうか? ルールでは財務省が発表する年末の為替レートを使うと書かれています。レートは財務省のWebsite(https://www.fiscal.treasury.gov/)で調べることができるそうです。ここで為替レートが見つからない場合は、別のサイトでレートを探して換算します。その場合はレートのソースを記載しないといけません。

要求される記録の保持期間ですが5年間はその金融資産の残高の証拠を保持していけないとされています。こちらも注意しましょう。

さてこのルールを順守しなかった場合のペナルティですが、2016年までは悪意がない場合は 1万ドルだったのですが、それ以降変更されています。ペナルティは5段階に分かれていて悪意があればあるほど高額になっていきます。

何年間もFBARを出すのを忘れていた人で、利子所得や配当金の所得が過少申告されており、また税務申告自体にForm 8938などの必要フォームが含まれていなかった場合は対処が難しくなります。悪意で出さなかったのではないことを証明しないといけないわけです。その場合は、必ず専門家にご相談ください。

Form 8938とFBARの対象は似ておりますが、違います。Form 8938にもくれぐれも注意したいと思います。

最後に永住権の放棄時の注意です。過去5年以内のFBARのViolationは、グリーンカードの放棄時にfileするForm 8854の上で過去5年間連邦税のルールを順守したかという質問にYesと回答できません。その場合は、永住権の保持者は自動的にCovered Expatriateの範疇に入り、大変厳しいルールで永住権を放棄しないといけません。ぜひ注意しましょう。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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