在庫の棚卸は毎年されているかと思いますが、固定資産の棚卸はされておられますでしょうか?固定資産管理の一部として固定資産の棚卸を行うことは非常に重要です。しかし、固定資産の棚卸が行われていなかったために、正しい調整を入れておらず、固定資産を処分しようとした際、固定資産台帳にその固定資産が見つかないということもあり得ます。今回は固定資産の棚卸を行う目的と方法についてお話させていただきたいと思います。
固定資産の棚卸を行う目的
固定資産の棚卸の目的は主に下記となります。
1)保有する固定資産の正確な把握
固定資産台帳の情報と実際が異なるということは会社が保有している資産を正しく把握できていない、そして財務諸表が間違えてしまうことになります。固定資産の棚卸を定期的に行い、実際と固定資産台帳の情報を比較することにより固定資産の購入、売却、破棄等の記帳漏れや間違いを見つけることができ、帳簿の数字を修正することが可能です。
2)セキュリティ強化
固定資産の棚卸しには、盗難を抑止、また万が一事件、事故や盗難が行った場合。追跡調査による原因究明をしやすくし、再発防止策を講じやすくすることができます。例えば、従業員が会社から支給された固定資産を勝手に転売した場合、固定資産の棚卸をした際にその固定資産が無くなっていることに気づくことができます。
3)経営及び予算管理の強化
固定資産の棚卸を行うことで固定資産の状況を確認することができ、買い替え、また新規購入の必要性を考慮することができます。例えば老朽化している資産などを特定し、修理か買い替えが必要かを検討することができ、また、固定資産を購入すれば減価償却を計上しなければなりませんのでどれだけの予算が必要かを検討することができます。
では実際の固定資産の棚卸とはどのような作業になるのでしょうか?
固定資産の棚卸方法
1)事前準備
まず棚卸の作業手順をまとめたマニュアルを作成します。このマニュアルには現物確認中に遭遇する状況によって、どのような対応を行うかを明確に記載することが重要です。例えば、あるはずの場所に固定資産がない場合はの対応はどうすべきか?固定資産台帳にはコンピュータが2台あると書かれているが実際には1台であった場合等の対応はどうすべきか?また椅子と机がある場合は一セットとして固定資産台帳に載っているため棚卸の際には気を付ける等があります。
そのマニュアルを元に社内でミーティングを行って手順を確認し、また棚卸の重要性を従業員に伝えます。その後、棚卸業務の責任者が棚卸表(固定資産台帳も使用可能)を棚卸をする従業員に渡します。
2)現物確認
実際に現物が保管されている現場に行き、棚卸表に記載されている情報と差異がないか照合、差異があればその旨を表に記載します。また、スティッカーやシール等を貼って数え終わったことがわかるようにしておくと同じ資産を再度数えるということがなく、時間短縮にもなりますし、数え終わっていない資産が何かがわかります。
現物確認をしている中で、棚卸表には記載されている固定資産が実際には存在しない、ということになりますと処分の処理をしていなかったのかもしれませんし、実在しているにも関わらず棚卸表に載っていない固定資産があった場合は、処分の処理をした際に間違えて他の固定資産で処分の処理をしてしまっているかもしれません。ですので差異は正しく棚卸表に記載しておくことが重要です。
3)帳簿の調整
すべての棚卸し実施者が作業を終えたら、棚卸表(棚卸原票)を回収し、必要であれば帳簿を調整いたします。例えば古くから固定資産台帳に残っている償却が終わっている机が実際には存在しなかった場合、固定資産処分の処理を行う必要があります。
固定資産は貸借対照表上、重要な項目ですし、減価償却を計上する必要があるため損益計算書にも影響を与えます。在庫の棚卸の際に年に一回は固定資産の棚卸もされてはいかがでしょうか?
固定資産管理、あるいは固定資産の棚卸についてご質問等ございましたらCDH会計事務所の中尾 [email protected] までお気兼ねなくお問い合わせください。