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海外金融資産の未報告の救済策を利用する条件は、「故意で隠蔽ではない」、つまり英語では、Non-willfulness Violationです。今回は、故意と見なされる3つのケースについて、IRSの監査官のトレーニングマニュアルを参考にして説明します[i]

  • 違反を知っていた場合-(Willful Blindness)
    • ルール違反は知っていたが、IRSは、私の違反はどうせわからないと高をくくっていて、報告をしなかった。
    • 過去にFBARのファイリングを行っていたが、ある時以降ファイリングを行わず、その口座からの所得も税務申告に載せなかった。つまり明らかにルールを知っていたと思われるケース。
    • FBARのファイリングに関するWarningをIRSから受け取ったが、ファイリングを行わなかった。通知を受けていながらアクションを起こさなかった。
  • 無謀な違反-(Reckless Violation)

該当する人が、自身の職業や、その人が受けた教育内容から考えて、当然知っているべきルールであるのに知らなかった場合。筆者が解釈するとすれば、米国CPAや、大学で会計学、金融などを専門に勉強された方、会計事務所の税務部門で仕事をしていた人なども、該当すると考えられます。例を筆者が考えました。例えば、交通標識を製造する責任者が、交通違反をして、ある標識の意味が分からなかったと言い張るケースでしょうか。もちろんケースバイケース、つまり個別の状況で大きく左右されると思います。

  • 故意な無知-(Willful Blindness)

FBARのルールについて、意図的に学ぼうとしなかった場合と定義されています。その例として、Form 1040のSchedule BのPart IIIで「海外金融口座がありますか?」の質問に対して、「はい」と答えながら、FBARをファイルしていなかったり、あるいは「いいえ」と答えながら、FBARをファイルしていなかった場合にも該当すると記載されています。ではどのような記入をすれば良かったのかの議論になります。

ここでは、以下のように考えられていると判断します。

Form 1040のSchedule Bの上で下記がしっかり記載されています。”At any time during 2021, did you have a financial interest in or signature authority over a financial account (such as a bank account, securities account, or brokerage account) located in a foreign country? See instructions…  If “Yes,” are you required to file FinCEN From 114…?

IRSは、これだけ明確に税務申告書のフォームの上で質問しているのにも関わらず、納税者がFBARを知らなかったとするのは、「故意な無知」であると判断するのだと思います。こちらもケースバイケースであると考えられます。

次回は、この判定にどのような資料が判断の根拠に使われるのかについて、説明します。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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[i] https://www.irs.gov/irm/part4/irm_04-026-016#idm140372786711184