GILTIの合算課税制度とはトランプ前大統領時代に米国税制改正 (The Tax Cut and Jobs Act) の一部として米国財務省が2018年度から始まる課税期間の最終日を含む米国法人の課税期間から適用されるように制定したものです。これは国外にある子会社が留保利益をため込む傾向にあるため、配当等の支払いによる親会社への資金還流を待たずに、利益を上げた時点で米国からの課税が行われる制度です。これがいろいろなところで影響を与えています。
GILTI概要
- Global Intangible Low-Taxed Incomeのことで 米国外軽課税無形資産所得、グローバル無形資産低課税所得と訳されています。
- GILTIとは米国税法に基づき一定の計算方法で算出した被支配外国法人 “CFC” (Controlled Foreign Corporation)の所得を米国の株主側で合算課税される制度です。
- GILTI課税所得は上記の被支配外国法人所得からその法人が所有する有形償却資産の簿価の10%を差し引いたものとなります。
- 米国株主側の課税所得に合算された後に50%の所得控除が認められているので、実際には法人税率の21%の50%に相当する5%がGILTI所得に課税されます。
- GILTIに掛かる米国外税額についてはGILTI所得に加算されて課税されますが、当該外国税額の80%を上限として外国税額控除を取ることができます。しかしこのGILTIに関する外国税額控除を繰越することは出来ません。
この制度は外国子会社を有する法人や米国居住者が対象となり、これは非法人株主(つまりパススルー事業体や個人)にとっては青天の霹靂とも言える課税制度です。
CFC(Controlled Foreign Corporation)被支配外国法人とは
- 議決権付き株式の10%以上を保有する米国在住株主が合算して50%超を保有する米国外法人
- つまり米国市民、米国永住権保持者、米国居住者等の米国在住株主によって議決権のある株式の50%超を直接・間接に保有する米国外にある法人のことです。
- 日本の場合この法人には株式会社、持分会社で法人として申告している合資会社・合同会社・合名会社等が該当します。
夫婦・親子・孫の保有する株式も間接的に保有していると見做されるため合算して計算されます。しかしそれらの親族が米国非居住者である場合は含まれません。
例えば米国でのLLCは日本では合同会社となりますが、これをMemberが一人の自営業として個人の所得に含めていれば米国でGILTIの対象とはなりません。しかし合同会社として日本で法人税の申告を行っていれば100%保有のCFCと見做されGILTIの対象となります。
Form 5471
また、10%以上の米国外法人の株式を保有している場合は同様にForm 5471 “Information Return of US Persons With Respect to Certain Foreign Corporation” での申告も必要となり、怠れば年度毎・法人毎にペナルティが課されますので注意ください。
FDII控除概要
- Foreign-derived Intangible Income deductionのことで、外国稼得無形資産所得控除と訳されています。
- このFDIIは米国法人が米国外で稼得したとみなされる一定の収入について5%の所得控除を認める制度で、2020年に最終規則が発表されました。
- GILTIは法人以外の米国株主身の適用されますが、FDIIは米国法人のみに適用されます。米国外の販売・ライセンス・役務提供等の国外取引から生じる収入が対象となります。
GILTIやFDIIは非常に複雑ですので必ず専門家にご相談ください。
参照
https://www.irs.gov/pub/irs-utl/section-250-deduction-fdii.pdf
https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-8992
https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-5471
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