買掛金管理とは購買から支払いまでの一連の流れを言います。買掛金は貸借対照表の中でも重要であり、事業をしていく上で毎日目にする科目と言っても過言ではないでしょうか。 また、買掛金は掛け取引ですので企業間の信用に基づいて行われる取引であるため、信用取引とも言われ、買掛金の支払いが遅れたり、漏れたりすると、自社の信用に傷をつけることになりかねません。今回は買掛金の正しい管理についてお話させていただきます。

買掛金管理の流れ

買掛金管理の流れは下記となります。

  • 購買予算の決定:顧客先からの発注計画を入手し、仕入計画を立てます。
  • 商品発注承認及び発注:上記の計画に基づき、発注先を決定します。サプライヤーは品質が良いか、安定して商品を供給できるか、資金繰りは問題ないか(倒産のリスク)、高すぎないか、等を考慮して決定する必要があります。新規のサプライヤーと取引を始める場合は社内で稟議が必要です。

発注先及び発注する商品と数量が確定後、注文書を作成します。注文書は部門長等がチェックを行い、承認し、その後注文書をサプライヤーに送ります。

  • 注文商品の受入、検品: 在庫入庫時には受領した在庫の数量が注文したものと合っているかを確認します。実務上、商品を受け入れた時点で仕入と買掛金を計上されることが多いかと思いますが、仕入の計上基準はサプライヤーとの取引条件によって異なります。決算期末は正しい期間に仕入が計上されるよう(カットオフ)サプライヤーとの取引条件を確認し、必要であれば未着品(商品がサプライヤーから出荷されたが年末までに商品が届いていない)を計上する必要があります。なお、主な計上基準は下記となります。

出荷基準:サプライヤーから商品が出荷された時点で仕入計上

受取基準:商品を受領した時点で仕入計上

検収基準:商品を受領し、商品の検収を終えた時点で仕入計上

  • 請求書の受領:サプライヤーから仕入れた商品の請求書が送付されます。請求書は購買担当者が内容を確認し、商品名や個数、そして金額等に間違いがないかどうかを確認して請求書を経理部に回します。経理部は請求書に記載されている商品名や個数、金額と帳簿が一致しているかを確認します。
  • 買掛金滞留表の照合、及び内容のチェック、:月次ベースで買掛金滞留表をシステムから抽出し、試算表の買掛金の数字と照合します。買掛金滞留表の残高と試算表の買掛金残高が一致していない場合は差異を追及し、必要に応じて帳簿残高を調整します。

また、滞留表に古い買掛金が残っていないか、取引のないサプライヤー名が載っていないか等をチェックします。古い買掛金が残っている場合、サプライヤーから長い間請求書が届いていない場合があります。その場合は担当部署からサプライヤーに問い合わせて請求書を依頼する必要があります。また、サプライヤー名をチェックすることは、不正防止にもつながります。(実態のない取引を仕入れとして計上している、等)

  • 関係会社への買掛金の照合:日系企業の場合、商品の仕入れを親会社や関係会社から行われている場合が多いかと思います。この場合、毎月末、関係会社に買掛金の詳細を送り、関係会社の売掛金の数字と一致しているかを確認します。差異があれば追求し、必要であれば調整を行います。
  • 買掛金の支払い:サプライヤーからの請求書は部門長に承認を得て経理部が支払い期日までに支払い手続きを行います。小切手支払いの場合は経理担当者が小切手を作成し、部門長が小切手に署名を行い、その後経理担当者は同日に郵送します。また、ACHの支払いや電信支払いをオンラインでされている会社も多々あるかと思います。これらの支払いは経理担当者以外が行い、経理担当者は入出金状況が参照できるアクセス権のみが付与されるよう設定されることをお勧めいたします。

また、近年、ペーパレスが活発化し、Bill.com(請求書管理、請求書及び支払いの承認がすべてオンライン上で可能なクラウドソフトウェア)の利用が大幅に増えました。Bill.comはQuickBooksともつなげることができるとても便利なソフトウェアです。

 

CDH会計事務所で買掛金管理を強化するためのコンサルティングサービス、またBill.com導入支援サービスを提供させていただいております。こちらに関してご質問等ございましたら、CDH会計事務所の中尾 [email protected] までお気兼ねなくお問い合わせください。