2021年12月15日以降終了の事業年度から新しいリース会計を適用しなければならないのをご存知でしょうか?今月11日に新リース会計のウェビナー開催させていただきましたが、参加できなかった方もいらっしゃるかと思いますので、今回は新リース会計について説明させていただきます。なお、ウェビナーは録画しておりますのでご興味がございましたら下記リンクから是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=-nLiJT1WOPQ

 

新リース会計と旧リース会計の違い

新リース会計と旧リース会計の主な違いは下記となります。

  1. 一番大きな違いとして、新リース会計ではすべてのリース(オフィスリースも含む)を貸借対照表にリース資産と負債を計上する必要があります(ただし短期リース、リース期間が1年以内でかつ更新しない場合はリース費用として計上可能)。旧会計ではオペレーティングリースというリースに該当すれば、リース支払いはリース費用として計上することができ、貸借対照表に資産と負債として計上しなくてもよかったため簡素化されていました。
  2. 新リース会計では2つのリースがあり、ファイナンスリースとオペレーティングリースがあります。旧リース会計でも2つの種類のリースがありましたが、ファイナンスリースではなく、キャピタルリースという名称となってなっていました(オペレーティングリースは存在していました)。
  3. 新リース会計では、ファイナンスリースに該当する要件が5つあり、この5つのうち一つの要件に該当するとファイナンスリースとされます。旧会計では、キャピタルリースに該当する要件は4つでした。

では、新リース会計のファイナンスリースとオペレーティングリースとはどのようなもので財務諸表にどのような影響を与えるのでしょうか?

ファイナンスリースとオペレーティングリース

ファイナンスリース:下記5つの要件のうち一つでも該当するとファイナンスリースとなります。

  1. リース物件の所有権がリース期間終了までに借り手に移転する
  2. リースには購入オプションが含まれており、借り手のオプション行使が合理的に見込まれる(目安として90%以上)
  3. リース期間が耐用年数の大部分を占めている(目安として75%以上)
  4. リース料総額の現在価値がリース物件の時価のほとんどすべてを占めている(目安として90%以上)
  5. 資産が特殊な性質であり、リース期間終了時に、貸手側にとって代替的な用途がないと予想される

オペレーティングリース:上記の要件に当てはまらず、短期リース出ない場合はすべてオペレーティングリースとなります。

 

では、ファイナンスリースとオペレーティングリースで会計処理はどのように異なるのでしょうか?

ファイナンスリースとオペレーティングリースの会計処理

下記が各リースの会計処理となります。

ファイナンスリース オペレーティングリース

 

リース開始時 リース料総額の現在価値(を資産と負債に計上
その後 リース資産をリース期間に渡って定額法にて償却し、償却費として計上 割引前の総リース額をリース期間に渡って定額法にて償却し、リース費用として計上。そして利息は負債の増加として計上
その後 また、リース負債を借入金の返済と同様に処理をし、支払利息を計上

上記だけを見てもイメージが掴みにくいかと思いますので下記に具体例を示します。

例:4年間の機械リース。1年ごとの支払いで1年目のリース料が$100,000、2年目が$110,000、3年目が$125,000、4年目が$145,000。4年間での合計支払いリース料は$480,000で割引率が7.2278%。リース料総額の現在価値は$400,000であった場合、ファイナンスリースとオペレーティングリースの仕訳は下記となります。

ファイナンスリース オペレーティングリース

 

リース開始時

 

Right of use (ROU) Asset  $400,000

Lease liability                         ($400,000)

 

Right of use (ROU) Asset  $400,000

Lease liability                         ($400,000)

1年目-利息計上と償却 Interest expense     $28,911*

Lease liability                         ($28,911)

 

 

Lease expense                      $120,000***

Lease liability                         ($28,911) *

Right of use (ROU) Asset      ($91,089)

(Lease expense と Liabilityの差額)

 

Amortization expense          $100,000**

Right of use (ROU) Asset     ($100,000)

 

リース料支払い Lease liability                          $100,000

Cash                                         ($100,000)

 

Lease liability                          $100,000

Cash                                         ($100,000)

* リース負債 $400,000 x 7.2278%

** 使用権資産(ROU)$400,000 of ROU÷4年(リース期間)

***割引前のリース料総額、$480,000÷4年(リース期間)

ではこの二つの仕訳は貸借対照表と損益計算書にどのような影響を与えるのでしょうか?下記が影響となります。

ファイナンスリース

資産 負債 償却費 支払利息 費用合計
1年目 $300,000 $328,911 $100,000 $28,911 $128,911
2年目 $200,000 $242,685 $100,000 $23,773 $123,773
3年目 $100,000 $135,226 $100,000 $17,541 $117,541
4年目 $0 $0 $100,000 $9,775 $109,775
合計 $400,000 $80,000 $480,000

 

オペレーティングリース

資産 負債 リース費用
1年目 $308,911 $328,911 $120,000
2年目 $212,684 $242,685 $120,000
3年目 $110,225 $135,226 $120,000
4年目 $0 $0 $120,000
合計 $480,000

 

上記をご覧いただきますと、損益計算書への影響は1年ごとの費用を見ていただきますと二つのリースで少々差があるのがおわかりいただけるかと思いますが4年間合計すると両リースとも$480,000となり、差異がなくなるのがお分かりいただけるかと思います。

この新リース会計は過去に遡って適用する必要があります。CDH会計事務所では新リース会計導入のお手伝いをさせていただいております。新リース会計に関しましてご質問のございましたらお気軽にCDH会計事務所の中尾([email protected])までお問い合わせください。