老後準備の推進

『老後2,000万円問題』が日本で話題になった2019年、アメリカでも老後に向けた年金プランの確立等、老後の準備の促進を目的としたSECURE Act of 2019が施行されました。SECUREは、Setting Every Community Up for Retirement Enhancementの略です。

バイデン大統領は昨年末の12月29日に、更に老後資金の貯蓄額の増加、年金プランの規則のシンプル化等を目的とするSECURE 2.0 Act of 2022に署名しました。その中から伐採してお話しします。

<企業>

年金プランへの自動加入

2025年より、従業員が401(k)、403(b)プランへ加入できる条件を満たすと自動的に従業員を年金プランへ加入することとなります。従業員の拠出額は給与の最低でも3%で、10%以上拠出はできません。この拠出率は、毎年自動的に1%づつ上昇していきます。従業員は、年金の自動加入を選択しないこともできます。

小企業年金プラン税額控除

2019年のSECURE Actにより、年金プランにかかるコストの税額控除がプラン設立から3年間、可能となりました。今回のSECURE 2.0 Act of 2022では、以前の小企業の定義の従業員数100名が50名に減り、更に従業員50名以下の企業への税額控除額が以前は50%であったのに対し100%となり、税額上限も$1,000/従業員となりました。また、控除可能年数もプラン設立から5年間に引き延ばされました。2023年より対象となります。

少額のインセンティブ

従業員の年金プランへの加入を促進するために、少額の商品券等を付与してもいい事になりました。

SIMPLEプランの企業マッチ額

企業マッチ額が上限10%までマッチ可能となりました。

学生ローン支払い額マッチ

2024年より、企業が従業員の学生ローン支払い金額と同額を年金プランへ入金できるようになります。

<個人>

Saver’s Match

2027年より、年金プランへの拠出金額に対して最大50%(上限$2,000)、IRSがマッチして年金プランへ入金してくれます。調整後所得(Adjusted Gross Income)の上限があり、夫婦合算申告・寡婦/寡夫申告で$41,000、特定世帯主申告で$30,750、その他の申告方法で$20,500以上の調整後所得がある場合には税額控除額が減額されます。

追加拠出

1年間に年金プランへ拠出できる金額は決まっています。ですが、50歳以上の場合、追加で$7,500(SIMPLEプランだと$3,500)まで拠出できます。SECURE 2.0では、2025年より、更に60、61、62、63歳の個人は上限額が$10,000(SIMPLEプランだと$5,000)まで追加拠出できます。また、IRAプランへも50歳以上の個人は追加で$1,000拠出可能です。ただし、追加拠出は税引き後の所得より拠出となります。

法定最低引き出し年齢の引き上げ

RMD(Required Minimum Distribution:法定最低引き出しルール)により、今までは72歳になると年金プランからの引き出しをしなければいけませんでした。2023年よりその年齢が73歳となります。

早期引き出しペナルティー

通常、59.5歳以前に年金プランから引き出しをすると、早期引き出しに対し10%の罰則金がかかります。国が定めた災害地域の居住者で、災害により被害を受け、災害から180日以内に引き出しをした場合、その引き出しには罰則金がかかりません。

また、ドメスティックバイオレンスの被害者は、2024年から$10,000もしくは年金口座価値の50%のどちらか少ない方を上限として罰則金なしで引き出しが可能となります。

上記はSECURE 2.0の一部で、各項目には更に細かいルール等がありますが、老後の資金不足は深刻な問題です。上記のような優遇措置を利用し、一日でも早く老後の為の貯蓄を開始しましょう。

記事に関するご質問は、レック 公子([email protected])まで。CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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