武藤 登
<受給資格>
米国では最低40クオーター(日本の四半期に相当するので10年間)の加入期間がソーシャルセキュリティの受給条件ですが、2005年の日米社会保障協定によって日本での社会保険加入期間との通算が認められたことにより、最低6クオーターの加入期間でも受給が可能になりました。
米国勤務者の納めるソーシャルセキュリティ税はその配偶者の受給(Spousal Benefits)にもつながります。つまり奥様が米国に居住されずご主人が単身赴任だった場合でも奥様には配偶者受給資格があるということです。但し、受給にはソーシャルセキュリティ番号が必要です。また、10年以上の婚姻関係が必要で、もし離婚しても再婚していなければご主人の年金を受け取る資格は維持されます。
<受給申請手続き>
日本在住の方は日本の年金事務所を通して3か月前から申請可能ですが、米国大使館年金課あるいは米国年金局より電話による資格審査があります。
米国在住の方は最寄りのソーシャルセキュリティの事務所にて申請手続きをするか、オンライン(www.socialsecurity.gov/applyforbenefits)又は電話(1-800-772-1213)での申請も可能です。
65歳でMedicare/Medicaidを申請された方は、申請時にパスポート、グリーンカード、出生証明書、結婚証明書もしくは戸籍謄本の写しを提出しなければなりません。原本は返されますが、その時点で最低限必要な書類は電子処理されソーシャルセキュリティ事務所が入手していることになります。
満額支給年齢が66歳(Full Retirement Age、1960年以降に生まれた方は67歳)とすると、62歳から繰上受給の場合25%、63歳からだと20%、64歳からで13.3%の減額となります。逆に繰り下げ需給は70歳まで可能で、1943年以降にお生まれの方は年8%の増額率となります。
ご夫婦お二人とも米国でソーシャルセキュリティ税を払った場合、それぞれご自身のRetirement benefitsが一つずつあり、配偶者としてのSpousal Benefitsもありますので、お二人の老後資金のニーズに合わせて受給開始時期やBenefitsの選択をすることになります。
<受給予想額>
ソーシャルセキュリティ事務所に行くと受給額をきちんと計算して教えてくれますがオンライン(www.socialsecurity.gov/retireもしくはwww.mymoney.gov)でのシュミレーションも可能です。www.socialsecurity.gov/myaccountのサイトでご自分のレコードを確認することも出来ます。
<注意点>
米国市民ではない受給者が米国外に6か月以上滞在すると支払がストップされますが、日米社会保障協定により日本人が日本に居住している場合は継続支給されます。但し、窓口の担当者によってはその知識を有せず支給をとめられたケースもありますのでご注意ください。
現在65歳の方の平均寿命は85歳、65歳の3人に一人は90歳まで生き、65歳の7人に一人は95歳まで生きています。まだ申請まで年数のある方は少しでも老後の生活を豊かなものに出来るよう現在の投資方法を見直してみては如何でしょうか。