絶対に知らないといけない永住権放棄のステップ

永住権者のトクする税務知識

6/1/2020

今は、まさにいろいろな面で米国の暮らしが大きく揺らいでいます。安全な暮らしができる日本に戻りたいという人も多くなるのも当然ですね。

そこで今回は永住権放棄から帰国までの4つのステップを簡潔に説明します。上記の図を見ながらお読みください。

  • I-407の提出

グリーンカードを同封して、永住権を放棄するために提出する書類です。正式名称はRecord of Abandonment of Lawful Permanent Resident Statusと言います。昔は、日本にある米国大使館に提出していましたが、今はヴァーモント州にあるUSCISに郵送します。USCISとはUS Citizenship and Immigration Servicesの略でいわゆる移民局です。約60日で永住権の放棄が認められるようです。ただ直近の例では3ヶ月かかっています。

  • I-797の受領

Notice of Actionがこのフォームの正式名称です。こちらが日本の住所に送付されてきます。このフォームでI-407が正式に受領されて、永住権の放棄が認められたことが通知されます。このフォームにはNotice Dateという欄があり、この日付がUSCISが個人の永住権の放棄を認めて、通知を作成した日になると思われます。重要な日ですので、しっかり保管してください。

  • W-8BENの提出

こちらの正式名称はCertificate of Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reportingです。永住権を放棄したり、駐在の期間が過ぎて日本に戻り米国の非居住者になった際にご自分の米国にある銀行や、401(k)を保管する金融機関に提出します。このフォームは通常30%の源泉税を取られてしまう利子、配当、年金等の所得を居住国と米国との間の租税条約を利用して減免された源泉税率を使うときのフォームです。日本に帰国されてから提出したり、帰国前に提出したりします。ちなみに、このフォームを出すことで401(k)のDistributionは日本の居住者は米国での源泉は一般的に避けることができるのです。

このフォームは一度出せばずっと有効ではなく、3年ごとの更新を義務付けられています。

  • 1040 NR Dual Status returns with Form 8854の提出

帰国された年の翌年に、提出する最後の税務申告書になります。Dual Statusとは居住者と非居住者の立場のふたつの状況を報告する特殊な税務申告書になり、夫婦合算での申告はできずに、ご夫婦でもひとりひとりの申告書を作ることになります。そしてForm 8854(Initial and Annual Expatriation Statement) で永住権放棄時の全世界の純資産などを報告するのです。Form 8854 は、永住権や市民権の放棄時にだけ使うフォームです。

通常はこの申告書を作成、提出することで米国への個人の税務申告義務は終了いたします。例外として毎年Form 8854を出し続けないといけない人もおりますので、注意してください。

以上が大きな流れになります。

CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。

この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

私はアメリカに住む人のために、さまざまな記事をリンクトインなどにもたびたび掲載しております。ぜひリンクトインでも繋がらせてください。お気軽に私までInvitationをにお送りください。Koh Fujimotoで検索していただければすぐに見つかります。

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