会社がビジネスを行うに伴って出張や消耗品の購入、社内でのイベント等で従業員が費用を立て替えることが多々あるかと思います。このような経費は損益計算書の中でも重要な費用であり、もし経費の不正を見過ごしてしまうと不正者を社内にそのままとどまらせておくということになり、会社にとって大きな損失となってしまいます。今回は経費に関する不正とその対策について解説させていただきます。
経費に関する不正
経費に関して従業員が行うと考えられる不正は主に下記となります。
- 架空出張:出張としながらも個人で旅行をし、この旅費を会社の出張費として立て替え請求をする。また、出張中に個人旅行も兼ねていたが個人旅行分で発生したホテルの費用等も会社に請求している。
- 顧客への贈答品:顧客先への贈答品としながらも私用に使うためのものを購入していたり、かなり高級な贈答品を購入している。また、贈答品としては考えにくいもの(例えばバッグや宝石類、生鮮食品等)を購入している。
- 交際接待費:実際には顧客と食事ではなく個人的であったり社員同士の食事であったにも関わらず交際接待費として立て替え請求をする。
- レシート:出張中のレシートを提出しない
- 未承認アイテムの購入:承認されていない消耗品やコンピューターなどを購入
- 社有車:会社から支給されている車を利用している際、個人目的で使用する場合は給与扱いとなるが個人使用しているにも関わらず会社にその旨を報告していない。
不正の予防策
では上記のような不正を防ぐためには具体的にどのような対策をするのがよいのでしょうか?考えられる対策としては下記のようなものがあります。
- 従業員は事前に出張申請を行い、上司にあらかじめ承認を得てから出張に行く。
- 従業員には出張に行った際、日報や週報を提出させる。また、出張日数が伸びた場合は理由と共に報告させる。
- 出張後、旅費精算書をレシート共に提出し、直属の上司が承認後、経理担当者が承認する。レシートがない場合はない理由を明記する。もし本来あるべきレシートが存在せず、かつクレジットカードのステートメントもない場合は従業員に建て替え費用の支払は行わない。また、レシートや精算書をチェックし、妥当な旅費か、個人私用のための費用がないかどうかを検証する。
- 接待交際費は事前申請とし、事前に「いつ・どこで・誰と・何のために」を具体的に明記する形で申請させ、また一緒に同行する従業員名も報告させる。また、費用がかなり高い場合はその理由を説明させる。
- 消耗品やコンピューター等の購入も事前申請とし、あらかじめ必要な購入かどうかを検討し、承認されたものだけを購入する。
- 従業員が社有車を利用している場合、会社までの往復通勤を含め、週末の個人使用等は給与扱いとなるため、従業員に私用で利用した日と走行距離を報告させ、その内容をチェックする。
従業員の不正・横領の対処を察知したときは、従業員に動きを悟られないように心がけ早期に迅速に調査する必要があります。また、最終的には社内処分で済ますのか、民事・刑事での訴追を行うか、あらかじめ目途を立てておくのが望ましいです。そして不正の事実を示す証拠を持って本人への聴取を行い、処分の決定を下します。
ところで、出張旅費の精算書やレシートを紙で提出、管理されておられませんでしょうか?今は従業員の経費管理ができるソフトウェアも多々あり、出張中であっても携帯の経費管理アプリを使ってレシートの写真を撮って会社立て替え請求を行い、承認者がソフトウェア上で承認を行うことができます。紙での管理が必要なくなり、また過去のレシート情報はソフトウェアに入っておりかつ、経費払い戻しもタイムリーに行うことができるためお勧めです。
一度御社が行われておられる経費管理を見直してみるのはいかがでしょうか?経費管理に関しましてご質問等ございましたらCDH会計事務所の中尾 [email protected] までお問い合わせください。