スモールビジネスには大変使い勝手が良い米国ではNo1のこのソフトですが、今回は反面教師になりあえて問題点を挙げたいと思います。廉価で、簡単に使えるこのソフトにももちろん弱点はあるわけです。そのポイントは以下の4点です:
- 不正の防止ができにくい
手軽なソフトであるだけ、数字や、データが変えやすい性質があります。昨年度に戻り数字を変えても誰が変更したかわかりません。また支払いを記録してから、小切手の宛先を変更しても記録が残りません。つまり、手軽さを優先しているがために、データを簡単に消せるのです。これは内部統制という意味では良くないですね。コンプライアンスという意味では、内蔵されているコントロールが足りません。企業規模が大きくなればなるほど、この問題は大きくなります。
- 会社の成長に追いつけない
Quickbooksは、スモールビジネス用に作られております。ですから、ある時点からビジネスの規模が大きくなりますと、規模に対応できなくなるのです。例えば従業員が6名のビジネスが急に60名になったときに、急に速度が遅くなったりする問題が出てきます。あるいはデータのバックアップに30分もかかったりします。ですから、企業の成長を予測するのであれば、成長しても使えるソフトでないと、すぐに新しいソフトに変更することになります。しかしあらかじめ成長に耐えうるソフトを購入してあれば、10年間くらいは使えるわけです。
- インプットの手作業が多いし、その後もエクセルで表を作らないといけない。
他のソフトでは自動化できる作業がまだまだ手作業になってしまいます。つまり自動入力がなく、手ですべて入力するわけです。また監査などを受けないといけないときに、そのデータを作るのにエクセルでまとめたりしないといけません。これですと、入力間違いは多いし、時間が大変かかります。また固定資産が多くある場合は、やはりエクセルや、他の固定資産用の特別ソフトを買わないとなかなかうまくいきません。
- 新しい売り上げ計上基準の会計に対応に無理が出る
2019年の一月一日からASC606という新しい売上計上基準が導入されます。この会計基準は以前の基準よりはるかに複雑な内容で、契約の内容により売上が分割されます。さらに非常に多岐にわたる脚注のためのデータを求められるのです。もちろんスモールビジネスの場合は、影響は少ないかもしれませんが、Quickbooksではこの基準に対応できない可能性もあります。この点も気を付けてくださいね。
注意:Quickbooksは欠陥ソフトであると言っているのではありません。企業のサイズや、内容によりこのソフトで対応できる場合がほとんどです。だからこそアメリカで一番人気のあり、多くのユーザーがいるソフトなのです。ただ、上記のような欠点があるのも事実であり、コンプライアンスを重視されたい企業や、より高度の機能を求められたい企業は、さらに速い速度での成長を予定されている企業は、別のソフトへのバージョンアップも検討されてもいいかもしれませんね。
上記のような問題点を感じていらっしゃって、Quickbooksを使用されている企業がありましたら、CDHまでご連絡くださいませ。
藤本光