米国財務会計基準審議会において定められた会計基準書842号: オペレーティングリース概要

 

主な変更点:

現在オペレーティングリースはすべてリース料として費用計上することができることになっています。新基準では分類上は引き続き「オペレーティングリース」と呼ばれますが、貸借対照表上では、リース資産と負債として認識しなければなりません。オペレーティングリースとしてリースを費用計上していた会社 はリース会計の変更により大きな影響を受けることになります。

 

財務諸表への影響:

各財務諸表への影響は下記となります。

貸借対照表:リースに取引における使用権資産をリース資産として、リース料の支払い義務がリース負債として計上されます。負債は1年以内に支払う予定リース料を流動負債として1年を超えて支払うリース料は固定負債に分類する必要があります。

損益計算書:リース総支払額を定額法で計算し、リース費用を毎月計上されます。

キャッシュ・フロー計算書:リース支払は営業活動によるキャッシュ•フローとして認識されることとなります。

 

当初測定:

新リース会計基準を始めて採用する、また新たなリースを開始した際はオペレーティングリース負債として計上するための数字を算出する必要があります。この数字を計算するためには将来支払われるリースの合計額を割引率を使って現在価値を算出する必要があり、この現在価値がリース負債として計上されることとなります。そして現在価値算出のために用いる割引率は以下のいずれかとなります:

  • 計算利子率(計算利率が決定できる場合はこちらを使用)
  • 追加借入利子率(同等の金額および金額で借入した際に考えられる利率を使用)

なお非上場企業は追加借入利子率の代わりにリスクフリーレート(銀行の信用リスク等を反映しないリスク・フリーに近い無リスク利子率)を使用することが可能です。ただし、一度このリスクフリーレートを採用すると、今後もこのレートを使用し続ける必要があります。また、追加借入利子率を使用した場合と比べリスクフリーレートを利用して計算したリース負債は僅かながらも大きくなります(リスクフリーレートの方が利率が低いため低い率で現在価値に割り引くと負債計上金額が大きくなります)。そのため非上場企業は追加借入利子率か、それともリース負債が大きくなるリスクフリーレートのどちらを採用するのかを考慮する必要があります。

オペレーティングリースの使用権資産は、借り手で発生した当初直接費用、前払されたリース料、リースインセンティブに関してリース負債を調整して計算します。

既存のリースについて既に計上されている繰延リース費用(Deferred rent、リース費用をリース期間に応じて定額法で計上する方法)は、オペレーティングリースを資産および負債を計上した時点で帳簿から削除する必要があります。

 

事後測定:

オペレーティングリース資産および負債を計上ごは毎月行う必要がある作業は下記になります:

  • 定額法でのリース費用(割引前のリース料 + 当初直接費用 / 支払回数)を計上する
  • 支払利息(リース負債 x 利子率)を計上し、かつ支払利息分リース負債を増額する
  • リース資産の償却額(定額法で計上されたリース費用と支払利息分増加された負債との差額)をリース資産から減額する
  • リース料が支払われた時点でリース負債を減額する

 

 

CDHでは、お客様が懸念される課題について銀行や会計士とのコミュニケーションをお手伝いさせていただいたり、現在および今後契約されるリース、およびベンダーとの契約内容のレビュー、最適なリースソフトウェアの選定等、新基準適用に伴うあらゆるステップをサポートさせていただきます。

 

リース新基準についてご質問等ありましたら、弊社監査部門シニアマネージャーの中尾 [email protected] (日本語と英語両方で対応可能)あるいは、Emily Bartlett [email protected](英語対応のみ)までお問合せください。