概要
州ごとの売上税のNEXUS[1]において、売り手企業がその州に実在するか否かは不必要と判断されました。。
売り手企業は州ごとの売上使用税の遵守、確認の為にNEXUS分析を行う事をお勧めします。
この判決により、売り手側の売上税の徴収と納付方法に影響を与える可能性があります。
[1] ネクサスとは、州の法人所得税や売上税の申告義務が発生した状態を表します。
詳細な分析
最高裁がQuill Corp判決を覆す
2018年6月21日、米国最高裁判所はサウスダコダ州におけるWayfairの調停で、多くのオンラインストアや州をまたがりビジネスを行う企業へ影響を及ぼす、売上使用税のNEXUSに対する重要な判決を下しました。裁判所は5-4の決定において、州政府は、州外に存在する売り手企業に対して、企業が売上が発生した州に実在しなくても、その州の顧客に対する売上に対し税金を徴収する事を義務づける事ができると判決を下しました。。今回のケースでは、特定の状況下で経済的又は仮想的な存在も、州のNEXUSが発生し、売り手企業が売上税の徴収及び支払が必要になると判断されました。場合によっては、電子アプリやウェブサイトのCookiesを追跡する事が、その州におけるNEXUSが発生すると考えられる可能性もあります。
背景
Wayfairのケースでは、米国最高裁判所は特定の遠隔販売会社がサウスダコダ州に対する売上税を登録し、徴収、送金する事を要求するサウスダコダ州法(サウスダコダ州成文憲法 10-64-1, その他)の合憲性を検討していました。この法律の下では、遠隔販売会社の現行または前年度の商品の売上又はサービス収入が10万ドルを超えた場合、又は200以上の取引数(課税対象商品およびサービスの販売)があった場合、サウスダコタ州でネクサスが発生すると定められています。
by in-state customers may create nexus.
米国憲法上の商業条項では、州が売り手企業に、売上/使用税の徴収及び送金を要求する以前に、売り手企業が州にネクサスが発生していなければならないと定めています。
過去の判例ではNEXUSは販売企業が州政府に物理的に存在をしていたかどうかが重要でした。これは1992年のQuill Corp対ノースダコタ州のケースで確認された先例の下に判断をしていました。NEXUSが存在するか否かは、会社活動や財産または州の代理店の活動等により判断されてきましたが、その後、多くの州政府はクリックスルーNEXUSとアフィリエイトNEXUSなどを行使し、このネクサスの定義を広げてきました。そして今回のWayfairとサウスダコダのケースのような経済的 NEXUS の方針は、今までのNEXUS の定義を更に広げ、州が一定の販売基準を満たしている企業に対して売上/使用税の徴収責任を課すとしています。一部の州では、電子アプリやウェブサイトのCookiesを追跡する事で、その州におけるNEXUSが発生すると考えられる可能性もあります。
売り手企業への配慮
販売使用税の義務
Wayfairのケースは全米各州及び地方税の管轄地域にて事業を営む企業へ大きな影響を与えます。最も直接的な影響は経済的なNEXUSを主張する州において、バーチャルまたは経済的に重要な存在をもつ売り手になります。サウスダコタ州(およびほかの経済的NEXUSを主張する州)に商品またはサービスを提供する売り手は、一定のドル額、又は取引量基準値を超えたかどうかを判断するのに加え、各商品が課税対象か非課税かをも見極める必要があります。今回のWayfairのケースの判決をうけ、売り手企業は税務アドバイザーと相談をして、経済的NEXUSのルールに従うのか又は従わないのかを決める事をお勧めします。さらに一部の州ではいわゆる「市場推進役」を対象とした法律の制定を開始しており、第三者の売り手のプラットフォームによる売上が州の決めた一定の売上額や条件を満たした場合、売上税を徴収していく事も進めています。
今後、法的な異議申し立てや議会の措置が裁判所の判決結果を制限する可能性もありますが、売り手企業は州政府がNEXUS の定義を広げ、税金の徴収を進める可能性がある事に留意しておきましょう。
通知と報告義務
コロラド州を筆頭に、遠隔の販売企業に対し、複雑な使用税通知と報告義務を課す州が増えてきてました。これらの税法の下では、遠隔販売業者は使用税の支払い義務について顧客に情報を提供し、取引データを州政府に報告しなければなりません。違法の場合、当然ペナルティが発生する可能性があります。ペンシルベニア州を含むいくつかの州では、納税者に対し、通知および報告制度と自主的な売上/使用税の登録の選択件が与えられています。
その他考慮すべき事項
売上税のNEXUS定義の拡大は、売上税自体の回収および送金をだけでなく、事業へ大きな影響を与える可能性があります。事業買収の分野では、州の「後継者債務」法は通常、特定の事業資産取得における売り手側の、未払いの売上税の負債に対する、購入者の負債を制限する通告、源泉徴収、および税制上の要件を課しています。州が積極的に売上税のNEXUSを主張するにつれて、事業買収を計画している企業は、複雑な後継者責任法へ従う為に、税務専門家に相談するのが望ましいでしょう。また、企業は売上税のNEXUSに関連する、財務諸表の影響も考慮する必要があります。
次の手段
各州の税務局は、サウスダコタとWayfairの判決に従い指針を表明しています。この決定が御社のビジネスにどのような影響を与えるのかについてお伺いされたい方は、お気軽にCDHにお問合せください。
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