アメリカでは毎年50万人以上の人が永住権を取得します。日本人に限って言いますとアメリカには20万人弱の永住権者がいます。(邦人登録をしていない人を含めると、この数はもっと増えます。)米国の税金や関連するルールは大変複雑で、それでなくても英語が第一言語でないGCを持っている人には理解が難しいものです。

そこで今回は永住権者がどうしても知らないといけない5つのポイントを要約してみます。

• 海外金融資産の報告

永住権者は世界のどこにいようが米国の居住者扱いです。米国の居住者は米国以外の海外にある金融資産を報告しないといけません。金融資産は銀行口座や投資のための株式口座を含みます。このリポートするフォームをForeign Bank Account Report (略称FBAR)と言います。このフォームを何年も出し忘れていると重大なペナルティが課されます。

• 海外からの相続

永住権者の場合は日本にご両親がいる場合がほとんどです。米国の非居住者から相続などで$100,000以上の資産を受け取った場合は、IRSに報告義務があります。日本で現金をもらって日本の口座に入っていたり、国内の不動産を受領した場合も含まれます。この場合はForm 3520を使って報告します。もし報告しなかった場合のペナルティは$10,000あるいは受け取った資産の35%です。

• 永住権放棄の通知

日本に帰国すれば永住権は自動的に無効になると考えている方は多いはず。しかし居住者としての税務義務はそのままです。米国政府に永住権を放棄したことを通知しないといけません。まずI-407を所定の米国大使館に送り、そのあとにIRSにFORM 8854を提出しないといけません。FORM 8854を提出しなかった場合のペナルティは$10,000とIRSのサイトに記載されています。

• 米国出国税

過去15年の間に8年間米国の永住権を保有していた人で全世界にある純資産が$2,000,000を超える人などが払わないといけない税金です。注意すべきは401(k)の残高なども対象になります。ひとりで$2,000,000だということです。ですからご夫婦の場合はお二人とも課税される可能性があります。税率はCapital Gainの税率が使われます。

• 401(k) 口座やその他の投資口座

これは税金には直接関係ありませんが、永住権を放棄した場合は米国の居住者扱いではなくなります。そのためほとんどの投資会社、つまり読者の方が口座を持たれている投資ブローカーの会社は、非居住者が投資口座を維持することを認めません。最低でも米国に正当な住居があり、いつかは米国に戻ってくる予定の人以外は口座の解約を求められます。適格退職年金口座(401(k) やTraditional IRA)をお持ちの方が急に口座の解約を求められたときには、Early Withdrawal Penaltyの10% が課されて、かつその時点での税率で全額に課税されます

私どもの事務所では上記のような問題でお悩みの方のご相談を承ります。弊社は米国で20年の歴史を持ち数多くの永住権者の税務問題をお手伝いしてきました。ご質問、ご意見のある方は藤本光までご連絡くださいませ。電話番号は(630) 253-0215 Email. [email protected] なおこの記事はあくまでルールの要約であり、全部の税制のルールを正確に記載してはおりません。詳細は専門家に個別にご相談ください。