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Roth IRAは、1989年にデラウェア州の上院議員のWilliam Rothさんともう一人の上院議員で提案されました。今回の記事は、このRoth IRAを永住者の立場から、説明してみたいと思います。
1.基礎知識
Roth IRAは、税引き後のお金を拠出する制度です。税引き後で拠出された資金は、税金が課税されずに推移します。IRAと同じように税金が繰延されるわけです。
59歳半を超えて、引き出すときにRothの最大の利点が現れます。それは非課税であるという点です。リタイア後に引き出したときに、投資利益として増えた分には税金が課税されないのがRothの最大の利点になります。他にもRothは良い点が数多くありますが、投資利益が永久に課税されないのは、最大のメリットであると考えます。
この特典は、米国の税率が長い目で見るとあがると考える人や、リタイアメントエイジになったときに税金の負担を減らしたいという人にとても魅力的だからです。
2.永住者に取ってのメリット
第一に、59歳半以降であれば、米国で帰国前に引き出して無税だからです。日本の税制で帰国の年にどのように課税されるかは、注意が必要ですが、IRAなどと違い、日本での生活のために一度に大きな金額を引き出したときに、少なくとも米国の税金を心配しないで良いのは大きな長所です。
第二に永住者は、日本からの公的、私的年金を受ける人が多く、ソーシャルセキュリティと合わせると、リタイアの後もかなりの課税所得になる人が多いように思います。そんなときにRothの非課税制度はとてもありがたいと言えます。
最後に通常のIRAと違いRequired Mandatory Distribution (RMD)がないことです。これも平均余命が長い日本人には、長い間持っていることができる意味で良いわけです。
3.その他の利点
IRAと同じに、翌年の税務申告の締切日までに拠出すれば、その年の拠出と認めてくれることです。コロナの影響で今年は5月17日まで伸びました。
401(k)にカバーされていようがいまいが、参加できるのもRothの利点です。通常のIRAでは制限があるのです。
IRAに比べると比較的高い金額ですが、所得の制限があります。一定金額以上の所得がある場合はRothの拠出はできません。
4.ふたつの5年ルール
Rothでしっかり理解しないといけないのが5年ルールと呼ばれる税法のルールです。
最初は、RothのDistributionが非課税で受け取ることができるか否かのルールです。最初にRothIRAの拠出をした年の1月1日から、5年経てば、59歳半を超えているという条件で、Distributionは非課税になります。この5年は一度満たしてしまえば、二度と満たす必要のないルールです。
次にRothのConversionについての5年ルールがあります。このルールは10%の早期引き出しにかかるペナルティだけに影響します。それぞれのRoth Conversion、つまり他の適格年金からのConversionで、5年間の制約があります。つまりConversionで増えたRothは、Conversion毎に5年の制限があるわけです。しかし例外規定として59歳半を超えていれば、10%のペナルティがかかることはありません。
59歳半以上の引き出しで、一番目の5年ルールさえ満たしていれば、非課税でRothを受け取ることができるわけです。この2番目の5年ルールはとても誤解しやすいので気を付けましょう。
5.Backdoor Roth
名前がすこし怪しげですが、これは正式名称ではありません。通常のIRAから、RothにConversionすることで、Rothに変更することで、将来の課税を避けることができる手法のことを総称して、Backdoor Rothと呼びます。この際、拠出する人の所得に関係なくできるので、所得が高すぎて通常のRoth口座への拠出ができない人が利用します。
また、現存する401(k)や、IRAの口座をRothにConversionすることをBackdoor Roth IRAと呼ぶ人もいます。この方法でも、Conversion時に課税はされてしまいますが、一度課税されると、将来課税はされないRothの口座になるのです。こちらの利点は、その年の所得、Conversionの金額に左右されずにいくらでRothを貯めることができる点です。
6.最後に
Roth のルールは複雑ですが、永住者にとって有利な点数多くあると考えられます。ぜひ、これらの税法ルールをしっかり理解していただければと思います。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
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