来年からCRS導入
日本を含む100以上の国で2018年までにCRS (Common Reporting Standards)制度を導入することが決まりました。
CRSは、「世界レベルの金融情報の共通化」あるいは「自動的な情報交換制度」とも言えます。CRSは、米国独自のルールに影響を受けた経済開発協力機構(OECD)が提唱し、G20首脳会談で承認された、国際的な取り決めだそうです。スイス、シンガポール、香港、中国、インドなどの各国も、もちろん加入しております。
CRSにより、各国の金融機関は口座保有者の居住者国を特定し、各金融機関の所在地国の税務当局に報告することが義務付けられています。各国の税務当局は収集した各国の居住者口座情報をその納税者の居住国の税務当局と自動的に情報交換を行うこととなります。この制度により、これまで各国の税務当局が把握することが困難であった租税回避行為の情報をタイムリーに把握することができるようになります。
具体的には、各国の金融機関が保有している非居住者や海外法人の氏名、住所、居住地国、納税者番号、口座残高、利子・配当の年間受取額などが報告対象になっているそうです。
日本の金融機関は2017年1月1日から、CRS要件に従って対象口座の特定手続を行い、報告対象となる顧客口座情報を2018年4月30日までに所轄の税務署へ申告を行う必要があります。
いままで海外金融資産を申告してこなかった方にとっては、ついに情報交換の制度ができたわけで、「待ったなし」になりました。
さて、日本のある銀行では下記のような案内がされております:
「CRS-実特法にご協力頂けない場合
2017年1月1日以降、新しく口座等を開設されるお客さまが、届出書をご提出頂けない場合、お申込みをお受けできない場合がございます。また、既に弊行に口座等をお持ちのお客さまの場合、お客さまの口座の情報等が国税庁に報告される場合がございます。
また、ご提出頂いた届出書に虚偽の記載がある場合は、実特法第13条第4項に基づき、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がありますので、ご留意ください。
- ※詳細につきましては、国税庁のホームページをご確認ください。」
とのことです。日本での罰則にも気を付けないといけませんね。
このルールによると各国では、2018年度にはすでに情報は共有されていると考えるべきだと思います。ただ、例外は出てくると思います。国によって対応の度合いが違うでしょうし、各国の仕組みも違う部分も大きいと思いますので。
2018年には仕組みが完成すると仮定すると、いままで無申告だった方はぜひ2017年の申告でいままでの無申告を訂正されることを強くお勧めします。CDHではいままで米国で無申告であった多くのかたのお世話をしてきており、この分野での豊富な経験を持っています。ぜひご相談くださいませ。
なおこの記事はルールを要約するのが目的です。個別の案件は必ず税務の専門家にご相談されて判断してください。連絡は [email protected] までお願いいたします。