今回の記事では、前回に引き続き、第一次トランプ政権下の2017年に成立した税制改革法(TCJA: Tax Cut and Jobs Act)の主要な変更点について解説します。個人税編でご紹介した条項ははすべて2025年に期限を迎えるというものでしたが、今回の法人税編では、すでに段階的に縮小されている条項も含まれています。

 

法人所得税率:現在の法人所得税率21%は、TCJA(税制改革法)で恒久的なものとして定められました。しかし、トランプ大統領は依然として法人税率を18%または20%に、さらに米国内企業には15%に引き下げる提案をしています。この調整は、2025年の予算調整において議会が利用できる収入額に主に依存する可能性があり、財政赤字が懸念されています。

 

研究開発費:研究開発費の全額控除は2021年にすでに終了しており、現在は米国内研究開発費は5年で償却、国外の研究開発費は15年で償却というルールになっています。2024年には過去に遡って全額控除を復活させるためTax Relief for American Families and Workers Actが下院の圧倒的な支持を得て通過しましたが、上院が棄却したため、全額控除の再開とはなりませんでした。

 

ボーナス減価償却:ボーナス減価償却は、2018年~2022年までは100%控除されていましたが、2023年に80%、2024年に60%、2025年に40%、2026年に20%と段階的に縮小されてきています。2027年からはボーナス減価償却はなしということになります。

 

事業関連の利子控除制限:TCJAでは、事業利子控除額が、調整後課税所得の30%までに制限されました。2021年までは調整後課税所得の計算には減価償却は加味されなかったため、より多くの利子控除が取れましたが、2022年以降は減価償却も含む調整後課税所得に変更となりました。この条項については、期限が設定されていませんので、今後の税制改正で変更がない限り、利子控除は制限され続けるということになります。

 

事業所得控除(Qualified Business Income Deduction:パートナーシップやS法人などのパススルー事業の所有者、または個人事業主は、現在最大20%の事業所得控除を受けることができますが、2025年の申告を最後に控除不可となります。

 

<国際税制の規定>

税源浸食乱用防止税(BEAT: Base Erosion and Anti-Abuse Tax): BEATは外国企業に対する支払いを通じて米国の税収が減少するのを防ぐため、一定の大規模な企業に対して追加の税金を課す仕組みです。関連会社グループの年間の売上高が5億ドル以上の米国企業が対象です。現在、BEATの課税率は10%ですが、2026年からは12.5%に引き上げられる予定です。米国企業が外国関連会社に支払った利子、ロイヤルティ、管理費などの支出が主な対象となり、これらの支出は米国の税基盤を減少させるため、追加税が課されます。

 

米国外軽課税無形資産所得(GILTI: Global Intangible Low-Taxed Income):GILTIは米国の企業が外国子会社を通じて、低い税率の国で得た利益に対して、追加で課税するという制度です。この仕組みは、企業が税率の低い国に利益を移転して税負担を軽減するのを防ぐために導入されました。現在の税率は10.5%ですが、2026年以降は13.125%に引き上げられる予定です。

 

外国稼得無形資産所得控除(FDII: Foreign-Derived Intangible Income):FDIIは米国の税制における特別な控除の一つで、米国企業が外国市場において得た利益に対して、一定の税負担を軽減するための仕組みです。この制度は、米国内の企業が外国市場で競争力を保つためのインセンティブを提供することを目的としています。現在はFDII所得の37.5%が控除の対象ですが、2026年以降は21.875%まで下がります。

 

これらの変化を理解することは、企業や納税者が将来の税制変更にどのように対応すべきかを見極める上で非常に重要です。これらの条項が延長される場合、永久的な延長ではなく、数年間の延長にとどまる可能性があります。税制の変更がどのように自社に影響するかを把握し、柔軟に対応できるようにすることが、競争力を維持するための鍵となるでしょう。

 

記事に関するご質問は、柴原 舞([email protected])まで。CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。

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