このグラフは、2017年に経済産業省が発表した主要国の医療費の比較です。日米を比較すると日本の一人当たりの平均医療費は米国の三分の一、個人負担分は八分の一であることがわかります。
このように大きな差が両国の医療費にあるのは、読者の周知のとおりです。
そこで、もし米国にお住まいのあなたが重い病気にかかられた場合に、日本に帰国するケースを想定してみました。そんなときの疑問点に答えるのが、この記事の意図です。
1、 税務申告
米国の市民権や、米国の永住権を保持している限りは米国へ全世界の所得をFORM 1040で申告し続けないといけません。もちろん所得がある一定額を超えなければ、申告しないでよい人もおります。しかし忘れていけないのは、日本にある金融資産がある一定額を超えてしまうと、そちらの報告義務がありますので報告し続けないといけません。
しかし今ではほとんどの申告が電子ファイルですから、世界のどこからでもできます。申告書のサインも実際にサインをしなくても電子的なサイン方式が広がりつつあります。
もちろん日本にも米国の1040のサポートをする事務所もいくつかございます。CDH会計事務所も名古屋に事務所がありますので、日本時間の昼の時間に電話で問い合わせなどができます。つまり日本にいても米国の申告は問題なくできます。
2、ソーシャルセキュリティ
全世界のどこにでもソーシャルセキュリティを送ってくれます。米国外に出て行っても問題ありません。永住権の方は、本来はもらえないのですが、例外規定がありまして、日本はその例外規定の国のリストに入っております。
米国でローカルのSSオフィスに問い合わせをすると、間違った答えが平気で返ってくることがあります。惑わされないようにしてください。
アメリカでベネフィットを受け取るから、日本で受け取れるようにもできます。郵送や、米国の大使館に出向くなど方法が複数ありますが、「連邦年金課」で住所変更や、口座の変更ができる仕組みです。ちなみに、もしMedicareを脱退したいのであれば、同じ連邦年金課でその手続きができるそうです。
3、滞在ビザ
日本には医療滞在ビザがあるそうです。対象は、治療を受ける人とその同伴者です。最高三年間まで有効のビザで、一度の滞在が90日以内であれば、数次ビザ(何度も来日できる)が取得できます。これらは司法書士事務所などで扱っているそうです。このビザは日本の少子化対応の一環としてアジアの富裕層が日本に治療を受けに来てもらいたいという意図で作られたビザだそうです。
医療ビザでなくても、一年から五年間程度の長期ビザを取得もできるそうです。このビザは、「日本人の配偶者等」の在留資格という名前です。この対象には、日本人の子供として出生した人も含まれるので、日本の戸籍を抜いて、米国籍を取られた人なども該当します。このビザの終了後は永住ビザの申請になると思います。
CDHでは米国在住の個人の税務申告作成のサービスを行う傍ら、これらの人たちのさまざまな問題点、疑問点を解決、説明すべく日々努力しております。またこれらの人たちが抱える問題は日米の税法をはじめ、移民法、生命保険、リタイアメントのルールなど複雑、多岐にわたります。
この記事は複雑な税法や、複雑な規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解してもらう目的でお伝えしています。したがって例外もたくさんあります。実際にアクションを取る場合は、必ず税務・法務などの専門家と相談をしてください。
おこの記事に関するご質問はお気軽に藤本光まで。[email protected] YouTubeでも同じ内容を説明しています。 CDH会計事務所で検索してみてください。